こんにちは、ビットスターの石田です。
今回は、「株式会社キシブル」代表の岸さんにインタビュー取材をしました!
株式会社キシブルは、VR技術を活用した様々なソリューションを展開する今注目の企業です。特にVRを活用し教育現場を革新しようとする取り組みは、北海道を拠点に全国的な広がりを見せています。
今回は、そんなキシブルさんのサービスの詳細や、目指す未来についてお話を伺いました!
最新技術で北海道に貢献する
石田:岸さん、よろしくお願いします。まず、キシブルさんの事業内容について教えていただけますか?
岸:社名の「キシブル」は「岸」+「VR」と書いてキシブルです。なので、VRやARのソリューション事業を行っています。
石田:キシブルってそういう意味だったんですね!なぜ北海道で起業しようと考えたのですか?
岸:元々、営業として全道各地、特に地方自治体を回っており、地方の若い人が苦労している現場を何度も見てきました。そこで新しいテクノロジーを使って、地方を元気にできたらいいなと思いました。なので、何か大きな決断を迫られたときには、僕のやっている仕事が北海道のためになるかというのを1つの基準にしています。
石田:ありがとうございます。その、「地方を元気にする」というのは、VR技術で実現することが出来そうなのでしょうか?
岸:そうですね。北海道や地方の働き手不足だったり、若い人がどんどんいなくなったり、技術継承ができなかったりという問題を解決できると考えています。
弊社のサービスが他のVRの企業と違う点は、 どんな現場でも使えるところと、中小企業でも導入しやすい価格設定です。VR事業は普通、導入に数百万から数千万ほどかかるのですが、作ってもその後使われないということがよくあるんです。じゃあどうやったらVRを日常的に、現場でも使えるのかっていうところで、多分、同業者で全くやってないことをやっています。
キシブルが展開する「iVRES」とは?
岸:キシブルでは、VR動画を活用した教育ツールである「iVRES」というサービスを展開しています。複数人で同時視聴し、コミュニケーションを行いながら擬似的な実習授業をすることで、主に研修の教材やマニュアル代わりに使用されています。
石田:なるほど。iVRESが他の企業のサービスと違う点はどこですか?
岸:普通、VR関係の会社って、VRのコンテンツを作ることで対価を得る形が一般的なんです。一方、iVRESはちょっと違っていて、ユーザー自身が現場でVRコンテンツを作れるんです。
石田:なるほど。つまりiVRESでは、VRコンテンツをつくるのではなく、VRの機材などを提供して現場の方に運用してもらう、ということをしているのですね。
岸:そうなんです。一度導入したらランニングコストもかからないですし、従来よりも大幅にコストを抑えてコンテンツを作成出来ます。本当に人手不足で困ってるのは大手ではなく中小零細企業になってくるので、そこに向けてどうソリューションを提供できるかということを考えているんです。
石田:VRの動画を作るのってとても難しそうに感じるのですが、本当に誰でも簡単に作れるんですか?
岸:めちゃくちゃ簡単です。カメラを置いて作業するだけで、作業内容は全て映像で記録されます。そして、作業中に「右手に気を付けて」とか「ここでこうするんだよ」といった補足説明をするだけです。これなら、急に明日から新人が来るとなっても、1回作業をやっている様子を録画すれば、それを見せるだけで教えることができますよね。実際に体験してもらうのが一番早いのでぜひ触ってみて欲しいです。
石田:とても画期的ですね。なにがきっかけでこのようなサービスを思いついたのですか?
岸:以前、北大の看護の先生と人工呼吸器のシミュレータを作っていたのですが、その機器のマニュアルが、もう100ページぐらいあったんです。しかも、普通の使い方だけではなくて、「こういうトラブルがあった時はこうしてください」といった、分岐がたくさんある。 それを全部シミュレーターにしてたらとてもキリがないですし、作ったとしても、新しい製品が出てきたら作り直さないといけない。そんなことをしていたら何千万円もかかってしまうんです。
そこで、VR動画として現場を撮影し、その中でシミュレーションできる形にしたらどうかな?と考えました。
石田: すごいですね!他にはどんな導入事例がありますか?
岸:最初は獣医学の解剖実習の現場で使用されました。弱っている動物だと研修が出来ないので、どうしても健康な動物を連れてきて解剖することになります。また、同じ種類の動物じゃないと内臓の位置や体つきが違うので勉強のために同じ種類の動物を何匹も解剖することになってしまいます。
そこで、無駄な殺生を防いで、 教育出来るようにということを目指し開発を進めていました。すると、別の先生からも声がかかり、人の医療の現場でも使われるようになり製品化をすることになりました。
その後は様々な現場に展開されました。例えば建設現場では、ドローンを飛ばしてその映像の中にみんなで入って映像を確認したり、現場の安全点検をVRで行ったり、ここに重機を置いてこういう風にやりましょうみたいな施工計画も現場に行かずに出来るようになりました。
他にも、物流会社や、インフラ、製造工場の教育指導などでも使っていただいています。
また、現在、IOWNと呼ばれる最先端の光技術を使った、遠隔地とのリアルタイム通信を実現しようとしています。例えば観光では、地方のガイドが東京にいる人にVR越しでその地域の魅力をリアルタイムで伝え、観光客誘致に貢献するといったことができるようになります。
石田:教育だけでなく様々な使い方が出来そうですね。海外展開にも力を入れているとのことですが、そのお話もお聞きかせいただけますか?
北海道から世界に広がるiVRES
岸:現在ベトナムで実証実験が行われています。ベトナムでは現場で正しい医療機器の使い方を教えられる人がそもそも少なく、みんな学校に定期的に戻って、学び直してるような状態なんです。
そこで、今年の1月にベトナムでiVRESの実証実験を行い、現地の先生方から非常に高い評価をいただきました。実証先は、1300床の大病院を含む、ハノイ地区の様々な医療機関です。
石田:そもそもなぜベトナムを選んだのですか?
岸:ベトナムは、過去5年で医療機関が1.5倍に増加し、医療技術の需要が急増しています。人口の中では20代が多く、非常に成長している市場です。しかし、医療水準の向上に対して教育が追いついていない現状があり、VRを使った教育のニーズが高いです。
また、ベトナムには日本の製造業やゼネコンが進出しています。日本の技術を使って、外国人労働者を現地で教育し、技術力を高めることで現地で拠点を設立し、さらに展開を広げることもできます。
他には、ベトナムで教育した技術者を日本に呼び込むことも可能です。日本での仕事の仕方を事前に学んでもらうので、ミスマッチを減らし、即戦力になるかと思います。技術力も高ければそれなりに給料ももらえるでしょうし、社会にも貢献してもらえるといったところで様々な課題を解決できるのかなっていうところも見据えています。
さらに、ベトナム以外にも、インドやアフリカでの展開も視野に入れており、医療機器の教育や支援を通じて、技術提供を行っています。
石田:ありがとうございます。最後に、岸さんが今後目指しているビジョンについてお話しいただけますでしょうか?
岸:今後、人材不足はさらに深刻になると思います。人が足りていないだけでなく、医療機関、製造業、建設業、どの分野でも教育が十分に機能していないのが現状です。
これは日本の学校教育にも原因があると思います。日本の教育は教科書に沿った試験をクリアすることが目的化していて、現実社会では通用しないケースが多いです。そのため、現場でもマニュアルやテキストを作ってそれに従わせる教育が主流ですが、実際にはそれでは仕事が回らないケースも多いです。
例えば、建設業の高所作業では安全帯を付けることがルールでも、現場では効率を重視して守られず、その結果重大な事故につながってしまうこともある。
そこで、現場での活動をどんどん撮影してデータベース化することで、「この現場ではこう注意した」、「ではこの現場ではこうすべきだ」と具体的な対策を話し合うことができます。このように、教科書通りではなく過去の事例も含めて、自分たちで考える問題解決型の教育ができないかなと考えています。
将来的には、VR技術を活用し、現場でのコミュニケーションや言語化を簡単にできるようにしたいと考えています。動画を撮影して「ここがこうだよ」と言うだけで伝わるような、簡単なコミュニケーションが現場でできるようにしたいなというのが将来の展望ですね。
石田:岸さん、ありがとうございました!
株式会社キシブル会社情報
- 代表者:岸 敬介
- 所在地:本社 〒001-0045 札幌市北区麻生町6-2-24
大通オフィス 〒060-0061 札幌市中央区南1条西2丁目18番地 IKEUCHI GATE 4F - 設立:2020年8月4日
- 事業内容:VR/ARの企画制作ソリューション、AI導入ソリューション
- 公式ウェブサイト:https://stdvisual.com
この記事をシェアする
同じカテゴリの新着記事
北海道ITまとめ
-
IT企業まとめ
-
スペースまとめ
ジョブボード
- 社名
- 募集職種
- 内容
- 給与・待遇
- 詳細
- 掲載終了日
ジョブボードに掲載したい企業募集中!詳しくはこちらより