5つのCMSが北の大地に集結!CMSMix Sapporoに行ってきた

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5つのCMSが北の大地に集結!CMSMix Sapporoに行ってきた

2016年2月27日(土)、13時30分からTKP札幌カンファレンスセンターで開催された「CMSMix Sapporo 〜Web制作の幅が広がる!プロジェクトの傾向から考える、2つ目・3つ目のCMS選び〜」に行ってきました!

取材・構成・撮影:赤沼俊幸 取材日 : 2016年2月27日

札幌市中央区北3条西3丁目の札幌小暮ビル7FにあるTKP札幌カンファレンスセンター7Cルーム

札幌市中央区北3条西3丁目の札幌小暮ビル

CMSMix Sapporoは札幌市中央区北3条西3丁目の札幌小暮ビル7FにあるTKP札幌カンファレンスセンター7Cルームで開催されました。

札幌市中央区北3条西3丁目 札幌小暮ビル

カンファレンスルームC
カンファレンスルームCは50人収容。本イベントは満席となる申込があり、この会場がこれからCMSに関心のある参加者でいっぱいになります! 札幌におけるCMSの注目度の高さを感じられます。

注目度の高さは参加者数だけではなく、協賛企業の多さからも感じることができます。CMSMix Sapporoは初回のイベントながら、株式会社イデアシーディー株式会社インセンブル株式会社ギアエイトクラスメソッド株式会社株式会社博報堂プロダクツデザインスタジオ株式会社ルーラーといったWeb系の会社が協賛。

参加者からも企業からも関心度の高い、CMSMix Sapporo。どんなイベントだったのでしょうか。

CMSMix Sapporoとは?

CMSMix Sapporoとは?
CMSMix Sapporoの主催者である株式会社ジャクスタポジションの西山泰史さんよりイベントの説明があります。開催の経緯は昨年の秋に遡ります。

昨年開催されたWCAN Autumnというイベントでウェビングスタジオさんより、「Web制作の幅が広がる! プロジェクトの傾向から考える、2つ目・3つ目のCMS選び」というセッションがありました。

その内容を見た西山さんがCMSを使っている方に本内容を紹介したいと考え、キーノートして、日本国内で人気のある5つのCMSが一堂に会するセミナーを札幌で開催したいと考えたのがイベント開催のきっかけです。さらに詳しい内容をイベントページより一部引用します。

普段、自身が良く利用しているCMSについては熟知しているが、それとはまた別の切り口で他のCMSを扱ってみたい、そう考えている方も多いのではないかと思います。本セミナーでは、各CMSの機能面の特徴はもちろん、どのようなプロジェクトや仕様に向いているのかなど、実践に役立つ情報を広くご紹介いただく予定となっております。

このような機会はあまり無いと思います。この機会に、普段とは違うCMSに触れてみてはいかがでしょうか。また、それらCMSコミュニティの方々とのつながりをもち、今後のWebサイト構築作業に役立ててはいかがでしょうか。

最後に西山さんより「今回、CMSMix Sapporoを開催しようと思ったきっかけとなるお話を、ウェビングスタジオの口田聖子さんより行っていただきたいと思います」と紹介があり、本編がスタートします。

日本のCMSの今。特徴とプロジェクトから考える、次のCMS選び

キーノートはウェビングスタジオの口田聖子さん
キーノートはウェビングスタジオの口田聖子さんによる「日本のCMSの今。特徴とプロジェクトから考える、次のCMS選び」です。

口田さんはCMSの総合情報サイトCMSスキルストアの運営をされるような、さまざまなCMSに詳しい方です。

口田さんは「複数のCMSを使ったほうがいい」と話します。

なぜ複数のCMSを使ったほうがいいのでしょうか?

1.手段の目的化を防ぐ(修正が数年後になり、魔改造の修正コストがある)
2.知識の停滞を防ぐ
3.抽象化思考が身につく

とお話されました。

ではどのCMSを選定したほうがいいのか? という点について、CMS別選定のポイントとして、a-blog cms、baserCMS、concrete5、Drupal、Jimdo、Movable Type、WordPressという各CMSのメリットと気をつけなければいけないことについてお話いただきました。

最後に口田さんは「CMSは変わっていく。今後も柔軟に対応していきましょう」というお話で締めくくり、各CMSの登壇者にバトンタッチします。

※登壇者記事 【Study】CMSMix Sapporoで、ふたたびCMSディレクション全般について話しました | ウェビンブログ

実装のしかたと運用方法から選ぶ a-blog cmsの紹介

有限会社アップルップルの森田かすみさんより「実装のしかたと運用方法から選ぶ a-blog cms の紹介」
キーノートの次は各CMSのセッションです。1つ目のセッションは国産CMSのa-blog cmsです。開発元でもある有限会社アップルップルの森田かすみさんより「実装のしかたと運用方法から選ぶ a-blog cms の紹介」が始まります。

「a-blog cmsはインストールが簡単なCMSなんです! みなさん、一緒にa-blog cmsの設定してみましょう!」とお話し、ブラウザ上から簡単にインストールできるablogcms.ioの画面を使いながら、会場の参加者と共にインストール方法のデモを行いました。

続いてa-blog cmsの特徴として、

  • PHPを書かない実装(モジュールを使う)
  • デフォルトの運用方法(ユニット編集を使う)
  • より運用しやすくするための実装

というトピックスから詳しく紹介。

a-blog cmsはノンプログラマーでも実装でき、プログラマーにも拡張できるCMSです。PHPを書かずにモジュールを使用する実装方法や、記事の書き方、管理画面でのHTML、CSSのカスタマイズ方法、カスタムフィールドメーカーの使用方法などについてお話します。

a-blog cmsの新機能や現在の取り組みとしては、モジュール単位で挿入可能なレイアウト機能、Cookieを利用して人の属性によって適切なコンテンツを表示するコンテンツのバーソナライゼーション機能、マルチプラットフォーム化のデジタルサイネージを紹介。

最後に森田さんは「いろんな方から出ないか言われていたのですが、ついに今年の春に書籍化することができました!」と春にa-blog cmsを本の出版を発表! 会場は拍手に包まれました。

デザイナーにモテモテ!?愛され体質CMS concrete5の魅力

concrete5エバンジェリストである大山武彦さんより、「初めてのconcrete5」と題して、concrete5の概要について
2つ目のセッションはドラッグアンドドロップでサイトを構築できるconcrete5についてです。冒頭はconcrete5エバンジェリストである大山武彦さんより、「初めてのconcrete5」と題して、concrete5の概要についてお話があります。

concrete5の番組concrete5はコミュニティも充実しており、毎週木曜日には「週間concrete5」という番組を放送しています。

ねこみみ隊長                              
続いてはねこみみ隊長こと岡本直美さんより、「要点のみを伝えます。興味が出たらすぐ触ってください」と勢いの良い話からconcrete5の特徴について話があります。

concrete5はWordPressやMovable Typeと較べて、実際に操作したことがある人が少ないことから、実際にドラッグアンドドロップで編集する方法のデモ、続いて「失敗なんて怖くない」として、トライアンドエラーを行いやすいオーバーライド機能を紹介がありました。

concrete5がデザイナーに愛される魅力としては「直感的な操作で楽しい。プログラミングによるカスタマイズが最小限、失敗を経験に変えるCMSならではの機能があります」と魅力を語ります。

「エバンジェリスト制度ができたのは日本が初めてです。日本のユーザーグループからの提案によって実現しました」とコミュニティの充実制度についても語り、セッションを終えました。

Drupalのコア要素を知る:構築と運用を支える道具立て

Drupal
3つ目のセッションは海外で人気の高いDrupalです。株式会社シナジークエストの白根健司さんによる「Drupalのコア要素を知る:構築と運用を支える道具立て」の発表です。

DrupalはPHPで動作するCMSです。ユーザーと開発者の巨大コミュニティが特徴で、札幌ではDrupalさっぽろというMeetupがあります。

プログラマ目線からデータ構造などを中心として、全体構造、フィールドエンティティ、Viesモジュール、ブロックシステムとテーマについてお話があります。プログラマの方にとってDrupalで何ができるか、ということについてよくわかったセッションになったかと思います。

個別の話としては、テーマ関数をオーバーライドとしてテーマの出力のカスタマイズする方法や、フィードを読み込んでサイトのデータベースに組み込むFeedsモジュールについて、紹介いただきました。

最後に2015年11月にリリースされたDrupal8について、サイトのREST構造、各メソッドのリクエスト仕様、Angurar.jsとの関わりについてと、Drupal8の期待についてお話いただき、セッションを終了しました。

あなたのWebサイトをもっと愛されるものにする、HubSpot×インバウンドマーケティング

あなたのWebサイトをもっと愛されるものにする、HubSpot×インバウンドマーケティング
続いて、ショートセッションとして株式会社24-7の半田惇志さんによる「あなたのWebサイトをもっと愛されるものにする、HubSpot×インバウンドマーケティング」が始まります。

日本で初めて、「Brackets」の教科書本を出されたようです
半田さんはAdobe製オープンソースのテキストエディタ「Brackets」への好きが高じて、 日本で初めて、Bracketsの教科書本を出版されました。

セッション本編では、従来型のアウトバウンドマーケティングと、インバウンドマーケティングの違いと、インバウンドマーケティングの成功事例。自社にファンになる流れについてお話します。

そのインバウンドマーケティングに最適化されたCMSとして、Hubspotを紹介。解析機能、見込み客の行動把握、顧客情報の一括管理、全てがHubSpotで一元管理できます。

見込み客の行動把握として、自身が24-7社に入社するためにWebサイトで情報収集されていたことをHubSpotで把握されていたことを例に出し、会場は驚きに包まれました。

ディレクター・ノンプログラマー目線のMovable Type

株式会社ジャクスタポジションの西山泰史さんよる「ディレクター・ノンプログラマー目線のMovable Type」
4つ目のセッションは株式会社ジャクスタポジションの西山泰史さんよる「ディレクター・ノンプログラマー目線のMovable Type」です。

13年近くMovable Typeを利用してサイトを構築してきた西山さんによるMovable Typeの気に入っているところのお話です。

  • 静的ファイルを出力できる
  • テンプレートの構造を管理画面から俯瞰できる
  • MTML(Movable Type Markup Language)の学習コストが低い

さらにMTMLの良いところに踏み込んで紹介

  • 再構築(間違ったまま保存しても、エラーが出るため、公開中のサイトに影響しない)
  • 公開中のサイトでも既存ファイルを複製して確認用ファイルを作成可能
  • なかったことにできるmt:lgnoreが使える。この部分を出力しないことができる
  • 管理画面もMTMLでできているので、管理画面もカスタマイズも可能
  • MTMLによる分業。プログラマにプラグインを開発してもらえると、フロントエンドがMTMLだけで良い

続いてはMovable Typeの良くないところの紹介と、その改善案の話があります。

  • ドキュメントがわかりづらい → MTQ(Movable Typeユーザーコミュニティ)がある。直接聞けるMTCafeも開催されている
  • ライセンス料 → ライセンスのバリエーションが多い(安価に利用できるプランもある)
  • 再構築に時間がかかる → 全体の再構築は時間がかかるが、全体の再構築をする機会はそこまで多くない。再構築が遅いが早める方法がある(再構築の頻度による)
  • 動的な出力ができない → ダイナミック・パブリッシング
  • 管理画面のUIが…… → 次のMTではマルチデバイス化や新しいUXなどを取り入れ生まれ変わる可能性がある

次に事例編として、実際にMovable Typeで開発した事例について、MTタグを使う人、デザインを作る人、MTタグを作る人、Data APIを利用する人、といったそれぞれの方が関わるプロジェクトでの分業方法を紹介。この日、会場にいらっしゃる方がプロジェクトに参加し、見慣れた顔が多くあります。


本セッションで興味を持った方に対して、Movable Typeをこれから始めて見たい方へ、アカウント登録無料で試せるサービス型CMS、MovableType.netの紹介があります(ブログとして公開して使用するには月額約2,100円〜)。

最後に、Movable Typeを一人で勉強するのが難しい方や、MTMLについて気軽に質問できるMT蝦夷の紹介があり、セッションを終えました。

All about WordPress ~データから読み解くWordPress~

プライム・ストラテジー株式会社執行役員CTOの大曲仁さんから「All about WordPress ~データから読み解くWordPress~」の発表
予定していた最後のセッションはプライム・ストラテジー株式会社執行役員CTOの大曲仁さんから「All about WordPress ~データから読み解くWordPress~」の発表です。

「データベースから把握するWordPress」と題して、WordPressのER図から、WordPressのデータ構造を紹介。画面にはWordPressに存在する12個のテーブルが表示されます。次にWordPressのER図をさらに機能ごとにグルーピング化して単純化させたER図を画面に表示します。すると、それらのテーブルのほとんどはpostsに繋がります。

「つまり、WordPressのデータの中心はposts。他のデータはpostsに対する付加情報とも言えるんですね」postsというのは、投稿、固定ページ、メディアの情報、カスタム投稿タイプ、過去の編集履歴(リビジョン)、自動保存情報、カスタムメニューなどなど。

「WordPressとはURLに基づいたコンテンツ検索システムと言えると思うんです」コンテンツとは、CMS上の検索対象となるモノ「ニュース」「商品」「製品」「人物」「施設」「FAQ」と話します。WordPressとはリクエストURLを元にクエリー条件を決定(リライトルール)、クエリー条件を合致したコンテンツをpostsから抽出するシステムです。

そのように考え、「WordPressはPHPとMySQLの動的システムとして、更新の即時性、検索サイトの適合度が高い」と話します。「WordPressは多様なコンテンツ検索機能をもつサイト、更新の多いサイトは向いています」

逆にWordPressは複雑なコンテンツレイアウトの作成は苦手。ブロック型のものについてはWordPressは苦手なようです。

最後に、これからのCMSのあり方として、CMSからWebを生成するだけではなく、アプリやサイネージ、IoTなどのバックエンドにも活用可能であると解説しました。

「CMSって何なの? どうやったら上手く使えるの? 今回は明日すぐ使えるわけではないですが、長い目で見て、今後役立つ内容だったと思います」と話し、セッションを締めくくりました。

おまけ〜日本のCMSの今。特徴とプロジェクトから考える、次のCMS選び

日本のCMSの今。特徴とプロジェクトから考える、次のCMS選び width=
当初予定はしていなかったものの時間に余裕ができたため、特別にウェビングスタジオの口田聖子さんより、「おまけ〜日本のCMSの今。特徴とプロジェクトから考える、次のCMS選び」の発表が最終セッションになります。

今回の話を聞いて、新しいCMSをやってみよう!と思った方へ、どのCMSを選択するのが良いかというのをアドバイスするお話となりました。口田さんからは「今後進みたい方向で検討すると良いのではと思います」とお話し、具体例を上げます。

他分野に注力したい
軽いCMS、またはMovable Typeなど

大きなプロジェクトで進めたい
Drupalやa-blog cmsを社内でがっつり行う

社員の得意分野を活かす。
・コーディングが再現しやすいMovable Typeとa-blog cms
・プログラミングが得意。ハックしやすいbaserCMS、WordPress

ディレクション・マーケティングが得意
調整が楽なconcrete5

と今後進みたい方向からのおすすめのCMSを紹介。続いて、CMSをもっと知るためには「イベント・勉強会に出る」「その辺のデータでサイトを作ってみる」「外注をしてみる」という方法を紹介。「それでも困ったときはCMSのウェビングスタジオにご相談くださいね」とお話し、セッションを終えました。

公開FAQ座談会〜エンディング

今回のCMSMix Sapporo、各セッションの終わりに質疑応答がない代わりに、公開FAQ座談会を用意しています。公開FAQ座談会「環境の移行が簡単にできるかどうか?」という質問があり、各CMSの登壇者の方より回答がありました。最後に、各CMS担当者から書籍やノベルティのじゃんけん大会があり、CMSMix Sapporoの第一弾は大盛況の中、終了しました。

参加者レポート

取材してみての感想

筆者はWordPressをメインで使うのですが、今のところ大規模なサイトを構築することはないので、最近の案件ではほぼ全てWordPressでサイトを構築しています。しかし、ある程度の規模があるサイトの依頼があったり、チームで構築を行うときでもWordPressというCMSをそのまま採用するかについては立ち止まって考えたいところです。ではどのCMSが良いのか? WordPress以外のCMSの経験があまりないので、その質問に対しては頭を抱えてしまいます。

そのようなレベルの私には抜群に役立つイベントでした。次にサイトの構築やリニューアル時にはCMSMix Sapporoで学んだ経験を活かし、WordPress以外のCMSも選択肢に入れ、さまざまなCMSを検討してようと強く思いました。

1つのサイトに採用するCMSは1つのため、各CMSはライバルでもあるといえます。このライバルのCMSが一同に介し、CMSの良さを語り合う……これだけを聞くと、各CMSの悪口を言うような内容を想像するかもしれませんが、本日の内容は全くそのようなものはなく、むしろ各CMSが別のCMSの良さを褒め称える光景が多く見られました。各CMSはライバルではなく、切磋琢磨し合う仲間だということを認識しました。

イベント後には懇親会が開催されました。本イベントは50人の参加者でしたが、懇親会は30名ほど参加者数でした。二次会は20名弱の人数がおり、私はこの規模感でここまで懇親会の参加率が高いイベントを見たことがありません。イベントの満足度がそのまま懇親会の盛り上がりに反映されることが多いとすると、初めてのCMSMix Sapporoは大成功だったと言えるのではないでしょうか。

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