2016年4月21日にミライストカフェで開催された『さぶみっと!ヨクスル in 札幌「Webのチカラで札幌の課題を解決しようぜ!」』に参加して来ました。
さぶみっと!ヨクスル in 札幌「Webのチカラで札幌の課題を解決しようぜ!」
取材・構成・撮影 : 赤沼俊幸 取材日 : 2016年4月21日
会場はミライストカフェです! ミライストカフェは他にもさまざまIT系イベントが開催されています。過去開催イベントレポートはこちらからどうぞ!
受付では参加者全員にさぶみっとTシャツが配布されます!
司会の株式会社イー・エージェンシーの五十嵐知之さんと甲斐大樹さんより、イベントの説明が行われ、開催までの経緯が説明されます。
「この街を知る!」ということで、五十嵐さんと、甲斐さんは本イベントの約一ヶ月前、札幌に訪れ、札幌の方々と札幌の問題点について話し合いを行いました。その中の何人かと親交を深め、今回、運営スタッフとして参加しています。札幌に訪れたレポートは下記記事で公開されています。
参加者への挙手での職種アンケートでは会社経営者が4名、デザイナーが5名、エンジニアが4名でした(挙げていない方は別職種)。居住地域を聞いた挙手ではほとんどが札幌在住の方でした。次に参加者同士で隣の方と自己紹介を行われ、司会からは「今日はすべてを自分ごと化してください」という説明がありました。
「宮崎で1,000人雇用を!アラタナが目指す地方での働き方とビジネスモデル」
第1部は「セミナーで事例を知ろう!」として、事例紹介形式のセミナーが始まります。session1では株式会社アラタナ ECマーケティング事業本部カゴラボ事業部揚松晴也さんより「宮崎で1,000人雇用を!アラタナが目指す地方での働き方とビジネスモデル」が始まります。揚松さんはこのイベントのために宮崎から札幌に来ていただきました。
宮崎県発ベンチャーのアラタナ。創業9年目で社員120名。現在は東証一部上場会社のグループ会社となっています。『陸の孤島宮崎』という立地的に不利な状況の中、全国の顧客を相手に成長してきたアラタナ。ここまでの成長を遂げるには様々な苦難がありました。 創業期、成長期、熟成期という目線で苦労したこと、それをどのような形でクリアしてきたのか?という”リアルな現場の部分”をお話させていただきます。
さぶみっと!ヨクスル in 札幌「Webのチカラで札幌の課題を解決しようぜ!」
アラタナが掲げている「経営理念としての宮崎で1000人の雇用を目指す」という理由についてのお話です。宮崎県は地域の課題として、人口流出が多い。高校卒業後の就職は県外が多く、全国で2番目に流出が多く、悪い県。高校卒業して半分は福岡やその他の地域に出てしまっている現状があり、宮崎県で生まれ育ったアラタナの創業者の思いとしては、アラタナで1000人の雇用を目指したいと考えています。
アラタナは今期、創業9年。宮崎県で、2名で起業しました。「地方ながらもどうしてこんなに成長できたのか? アラタナはEC-CUBE誕生のタイミングから生まれました」
EC-CUBEはリテラシーがないと使いづらいCMSでした。簡単にスタートできない。EC-CUBEの構築ができたとしても、撮影など自分たちでは出来ません。そういう課題を解決したのがアラタナのカゴラボです。
「創業メンバーのバランスがすごく良かったと思います」と揚松さんは語ります。「浜渦社長がヒジョンを語る人、技術で実現する人、3人目がビジネスとして成立させる人、という役割の違う3人がいたのが大きいと思っています。3人目が三重県出身で、サーフィンが好きで、宮崎に引っ越してきたという経緯があります」
上手く行った理由は、ターゲティング。「宮崎のネットショップを作ろう」と最初に思った浜渦社長ですが、3人目の方が入ったときに「いや、東京を目指そう」と舵を切り直します。「いきなり東京に行こうとポジショニングしたのが上手く行きました。今は7〜8割が東京のお客様です」
カゴラボのポジショニングも上手くいきました。地方ならではの強みを活かすために、訪問しなくても営業できるようにしました。「会わなくても数千万のプロジェクトが動かせるようにしよう」と。お客さんからは「会わなくても大丈夫だね」と信頼してもらえるぐらいになります。
価格としても人件費、家賃が安い分、東京より安く提供できます。良い環境で働きながら、お客様に価値を提供できるようにしたい。
ただ、成長期の壁には当たります。その壁とは「いかにして人材を確保するのか」。成長するにしたがって、優秀な人材がほしくなります。
アラタナは「認知度を上げたい」と思い、「積極採用中」というTVCMを打ちます。TVCMを出す上で時期を工夫します。県外で働く方が帰省するタイミングでゴールデンタイムにCMを打ちます。1日3回、宮崎価格でなんと「40万円」で出せてしまう。効果が良く、毎年実行しています。現在はテレビ、ラジオ、新聞を行っています。
「アラタナで働く意味と意義を感じてもらいたいと考えています。会社と社員とお客様がハッピーであるハッピートライアングルを大切にしています」アラタナの社風を支えるべく、行っていることを一部紹介。
部活動制度では部活動してブログに書くと、部費が1万円支給されます。その他にシャッフルランチ、MVP制度(MVPを取ると、社報に掲載)があります。
地方でも面白いことができます。例えば、クロスターンシップ。宮崎にしながらも東京の会社と人材交流する取組をしています。地方で働いていても、東京の会社で働くようなやりがいを感じるようにやってもらいます。
宮崎に雇用を生み、地方で採用を生むためには、東京にいて優秀な人材を宮崎に来てもらう必要があります。そのためのデュアルライフ制度があります。デュアルライフ制度とは2年間の間の家賃を保証(180万円まで家賃と、渡航費を保証)しています。
行政との協力も重要だと考えています。宮崎県日南市と組んで、共同インターンを行っています。社長に新規事業をプレゼンして立ち上げてしまうインターンも出てきました。実績として80人のインターン受け入れています。北海道の大学を出た人も参加しています。
日南市の赤れんが館を改装して、コワーキングスペースを無償で提供もしています。
最後に、地方で企業として頑張ることの意味を話します。「高校生の小論文で「アラタナについて」と書いた学生もいるほど、知名度や存在感が出てきています。アラタナに就職したい、という若者が増えてきています」
お話の後に甲斐さんが「なぜたくさんのアイデアが生まれるんですか?」と質問します。揚松さんは「本気で悩んでいます。みんなでブレストしています。たくさんやることが大事だと思っています」と答えました。
「地域と繋がる、地域を繋げる」京都のWeb制作会社としての取り組み
session2では株式会社イー・エージェンシー 京都ソリューション部リーダー・プロデューサーの千田哲也さんより「地域と繋がる、地域を繋げる。京都のWeb制作会社としての取り組み」です。
「弊社は京都創業のWeb制作会社です。京都という地域でビジネスを展開していくにあたり単価の違いや求められるスキルの違いなど多くの課題を感じることがありました。 しかし地域固有の「個性」と向き合い、新しい価値を作る。そんな事を目標に、京都の老舗様や行政との新しい取り組みを始めています。 まだ始まったばかりの取り組みですが、単純な制作の枠を超えて、インターネットでできる事はなにか、インターネットに求められる事は何かを考えます。」
さぶみっと!ヨクスル in 札幌「Webのチカラで札幌の課題を解決しようぜ!」
奥さんと共に米原市にUターンした千田さん。米原市を「なんとかしたい」と思い、自分の仕事でもあるマーケティングを用いて、分析を行うために農家に訪問し「今、どんな課題がありますか?」ということを訪ね歩きました。
面白かった課題としては、直販を行っている農家で、雨の日に全然お客さんが来ない。しかも、そういうときに限って、美味しい苺ができる。
これを聞いて「なんとかしたい」と思います。農家と一般の消費者を繋ぐような何かという企画のコンセプトを立てました。そこから農家のところに行って、提案してお伝えしました。そうすると、「ええやんけ」という声をいただきました。……しかし、明らかに響いていない。
イー・エージェンシー京都事業部ではレベニューシェアモデルで事業を行っています。京都の老舗さんの人たちにECのインフラを提供し、ECの運用代行を行います。初期費用はありませんが、売上の一部をいただいています。
目的は収益モデルを変えることです。京都ならではの仕事をしたいと考え、老舗企業との取引もあります。
風呂敷を販売している宮井株式会社に訪ねてみると、売上がそんなに芳しくないという状況でした。宮井株式会社のことを知ろうと思い、会社に通い、学芸員の先生に風呂敷の話を聞けました。
「風呂敷を使ったことがある人が少ない。風呂敷は包む、まとめる、保護する、といった様々な用途がありますが、日常的な身近な道具として使われなくなりました。しかし、機能的な風呂敷は価値として注目されつつあります。包み方講座など、いろんな情報がインターネット調べれば出ています」
しかし、大事なのは風呂敷の情緒的な価値です。これが伝えられていない。この価値をなんとかして伝えたい。そのためのコンセプトは「忘れ去られた教養を思い出そう」として、新サービス開発プロジェクト「みんなのふろしき」に加わることになりました。
米原市の提案時のアプローチでは、マーケティング環境を分析し、データを集め、生活者の声を聞き、課題を聞きました。課題を解決するためにコンセプトを決めます。これはマーケットインの考え方である顧客思考です。
宮井株式会社の提案時のアプローチでは、「価値を聞いて、それを伝えたい」というコンセプトがあり、プロダクトアウトの考え方に近かったと気づきを得ます。「顧客志向のコンセプトだけではイノベーティブは起きない」ということに気づきました。
「話を米原に戻します。米原の価値とは何か。米原に帰った理由……」米原市に帰って、「やっぱり実家っていいよね」という気持ちになった。僕の体験こそが価値ではないか。
「大都会に住んでいる人にメッセージを伝えたい」と米原市に提案にすると、「おもしろいね、ぜひやろう」と言っていただきました。「大切なことは価値を見つけることです」
「ヨクスル」ブレストでアイデアを出し合おう!
2部は「ヨクスル」という名称でアイデアを出しあうブレストを行います。Webや地域に関する課題が解決するために、「こんな課題を解決したい!」というヨクスルプレゼンターが登壇、提起した課題に対して、グループに分かれてアイデアを出し合います。ヨクスル札幌では4名の方が5分でプレゼンを行いました。
人口減少時代の賃貸仲介を盛り上げたい!三光不動産の二階堂智哉さん
三光不動産の二階堂智哉さんは不動産業の観点から人口減少時代の問題点について話します。
2015年、札幌は人口のピークと迎えたと言われており、今後、札幌の人口は減っていくと言われています。人口が減っていくと、空き家や空室率が増えます。空き家や空室率が上がると犯罪率が上がるという東京のデータがあります。治安が悪くなったり、景観が悪化するということもあるでしょう。さらに家賃が下がると、設備の修繕費用が賄えないかもしれません。
「そんな時代に空室を埋めるためのアイデアを考えませんか」と二階堂さんは話します。「例えば、”こんな貸し方はどう?”、”お部屋をこんなふうにしたら?”などなど新しいアイデアを一緒に考えたいと思っています」
札幌Web業界と人材育成 株式会社アーキテクチャーウェブシステムの重久貴さん
株式会社アーキテクチャーウェブシステムの重久さんはWeb制作会社の観点から業界の問題点について話します。本日のテーマ「Web業界の人材育成について」です。
自社の求人応募数がどんどん減少しています。6年前応募総数が23名、3年前応募総数8名、1年前応募総数5名と減っていってます。
「これではいけない」と思い、専門学校で技術を勉強してプロになりたい学生もいると考え、Webデザイン学科がある専門学校に相談しましたが、候補となる方が5〜6名ぐらいしかいなかった(男1名、女5名)。
「なぜ人材が育っていないのでしょうか?」と投げかけ、いくつかの仮説を紹介します。「なり方がわからない、学ぶ場所がないかもしれません、就職するところがない、なりたくない?という仮説があります」
「なりたくない?」という問題については週間SPA!で掲載していた「早死する職業トップ5」の中にはWebディレクターという紹介があり、過酷なイメージがあるのではないかと話します。IT業界は「7K」とも呼ばれており、きつい、帰れない、給料が安いの他に、規則が厳しい、休暇がとれない、化粧ができない、結婚できない、というがあります。
過去はどうだったか。未熟でも仕事を学びながらプロになれた。お客様にお金をいただきながらもプロになれた。技術を学ぶデジハリがあった。インターネット・Webの技術を作る未来に魅力を感じていた。
「解決のために実現したいこと。Web業界のイメージを向上したい。若い子から憧れられる職業にしたい。Web技術を学べる場所にしたい」
キャラ弁を活用して北海道食材を世界に広めたい よっちママさん
キャラクター弁当の講師を行っているよっちママさん。「キャラ弁を通じて北海道食材の良さを広めたい」と話します。
北海道は野菜の種類も豊富で、安心安全な野菜をふんだんに使った身体に優しいお弁当を作ることができます。北海道の頑張っている農家の作る素晴らしい野菜を世界中に広め、TPPを強みに変えられる北海道にしたいと考えています。
北海道食材を広める手段として動画をたくさんの方に見てもらい、北海道食材の特徴や良さを全国、遷移に広めていきたい。
「みなさんと考えたいことはどういう動画にしたら、離脱せずにシェアされやすいのか?海外の人に注目されやすいのか?より北海道食材が注目され、キャラ弁の魅力が伝わり、キャラ弁を作ってみようと思う動画にできるのか?」と話しました。
21世紀の自治をつくりたい 堀直人さん
江別市議会議員、NPO法人北海道冒険芸術出版事務局長、日本編集株式会社代表取締役の堀直人さんの語るテーマは「21世紀の自治」です。
育った街「江別」で何もやっていない罪悪感を感じて、江別市の議員になった堀直人さん。江別市議会議員として、また、江別に育った街の1人として、「まちの仕組みを考える」ということを続けると、自治という言葉を見つけます。
日本は人口減少時代を迎えます。21世紀こそ自治の時代と考えます。
その中で価値観を転換できない人が多数派を占める問題が出てきます。自己責任になりがちな民主主義時代に生きています。社会は自分たちの手で変えられるということを当たり前にはどうすればいいのでしょうか?
民間事業として実施したい。例として、江別駅の前にあるイベントスペースの銀のしずくの例を上げます。泊、食、湯としての観光を作っていきたい。
観光を回路に経済循環したい。文化と観光をどう結びつければいいのか。
ブレインストーミング
4人の方が登壇し、4つのテーマが揃いました。参加者が興味のあるところに参加し、ブレインストーミングが始まります。
「ブレインストーミングにはルールがあります。批判はしない、いろんなアイデアを出す、自由な発言にする。実現可能性は飛ばす、質よりは量。時間は15分です。とりあえず量を出しましょう」と司会の方が話し、4グループが人数のバランス良くわかれ、15分のブレストが開始されます。
交流会でアウトプットしよう!
プレスト後は参加者、スタッフ全員での交流会です。アルコールありのドリンクと美味しそうな食べ物が振る舞われます。
みんなで乾杯です!
最後に、交流会の中でヨクスルプレゼンターがブレストで出たアイデアを発表します。
「いろいろなアイデアが出たのですが、問題を解決するアイデアとして、”フロアごとに年齢層を分けた建物を作る”というアイデアがでました。この建物を作ってくれるオーナーさんを募集しています(笑)」と話し、会場が笑いに包まれ、オーナーが募集。
「Web業界のイメージが悪ければ、別の名前で呼べばいいのではというアイデアが出ました(笑) 労働条件が良くなれば他の人に教える時間ができるので、労働条件を良くしなければ。Web業界はブラックボックスが多すぎるので、どういうように作っているかというのを見てもらいたい。そのためにインターンを行うのも良いのではないか」という話が出ました。
「せっかちなので、動画が始まるときに15秒や30秒という時間が出たほうがいい。キャラ弁のポータルサイトに投稿できるようにする。2’59cookingという2分59秒以内での動画限定のサイトがあり、このサイトに投稿していきます」
「クラブを作る、というのがいいのではないかと思いました。この場所を使っていい、と言われることがあるけど、いつもどうしようかと思ってしまいます。例えば、小樽=運河みたいなイメージがあり、キャッチーなものが必要。そこで、江別=クラブみたいなものはどうか。江別は街のイメージがないから、どうでもできる。まずはクラブを作って、食事も必要になるので、商店街も盛り上がって、オシャレになっていきます」
全ヨクスルプレゼンターの発表が終わり、最後に司会より「いろいろおもしろいテーマとアイデアがあったのではないかと思います。できるできないかに関わらず、まずは絡んでみたい、というプロジェクトがありましたら、ぜひ箱に名刺を入れていただければと思います」と話し、発表が終わりました。
イベント中ではテーマごとに名刺を入れる箱が用意されており、箱に名刺を入れた方には後日、各ヨクスルプレゼンターより連絡が取れる仕組みとなっており、イベント終了後でも参加者同士が繋がれる仕組みになっています。
イベントの後日、各ヨクスルプレゼンターの方にインタビューが行われ、公開されています。
- 札幌人口減少時代の賃貸業界を盛り上げたい!【株式会社三光不動産 二階堂さん】
- ライトインターンの受け入れを!札幌Web業界と人材育成【株式会社アーキテクチャーウェブシステム 重久さん】
- 政治を身近に感じてほしい!21世紀の自治【江別市議会議員 堀直人さん】
- 北海道食材を使ったキャラ弁を世界に広めたい【よっちママさん】
さぶみっと!JAPANからのお知らせによると、次回の開催は2016年10月13日(木)を予定。プレゼンターを募集しているようです。興味ある方は下記より問い合わせてみてはいかがでしょうか。
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