“遊び”と“学び”をつなぐプロジェクト、アプリ版『カーボンクエスト』誕生秘話──エゾリンク×dott×学生インターンが挑んだ開発の舞台裏

“遊び”と“学び”をつなぐプロジェクト、アプリ版『カーボンクエスト』誕生秘話──エゾリンク×dott×学生インターンが挑んだ開発の舞台裏

こんにちは、キタゴエ編集長の石田です!

前回の記事では、円山動物園で開催された『アプリ版カーボンクエスト』のイベントレポートをお届けしました! 

 

今回はその続編として、合同会社エゾリンク代表・安東さんと株式会社dott代表・浅井さんに対談形式でお話を伺いながら、「アプリ版カーボンクエスト」が生まれるまでの裏側を深掘りします!

左:dott代表 浅井さん 右:エゾリンク代表 安東さん

 

アプリ版「カーボンクエスト」はこうして生まれた

出会いは産業振興センターの“ご近所さん”から

石田:そもそも今回のプロジェクトが始まったきっかけって、なんだったんですか?

浅井:最初の出会いは、札幌市産業振興センターのインキュベーション施設ですね。僕たち、ちょうど同時期に入居してたんですよ。

安東:そうそう。札幌産業振興財団が主催しているビジネスピッチイベントに「入居者はぜひ出てください」って声をかけてもらって、そこで顔を合わせたのが始まりでした。

浅井:あの時にアプリ版カーボンクエストをやってみたい!と安東さんが話していて……、そこから徐々に繋がっていった感じです。

 

VRからアプリへ。共同開発が始まった瞬間

浅井:その後、財団の方と別のプロジェクトの話をしていた時に、「エゾリンクさんがVR版のカーボンクエストをやろうとしてるらしい」っていう話が出てきたんですよ。で、「浅井さんの会社ってVRできるんじゃないですか?」って相談されて。でも僕は、「それって本当にVRでやるべきですか?」って話をしたんです。むしろ、もっと広がる形で、アプリにした方がいいんじゃないかって。それが開発の出発点ですね。

安東:実はその時期、大企業の人たちに話をしに行ったりしてたんですけど、結構けちょんけちょんにされていました。「そういうの、うちでもうやってるから」みたいな反応で。これはストレートには売れないなって痛感してたところだったので、まさにちょうどいいタイミングでした。

浅井:で、産業振興センターで軽くお話をして、「じゃあ一緒にやってみましょうか」って流れに。財団としても、入居企業同士の成功事例になったんじゃないかと思います。

 

 

円山動物園を舞台に実証スタート

浅井:もともとは企業の販促ツールとして使えるようにっていう想定だったんですけど、やっぱり最初に実績がないと売りにくい。じゃあどこで実証しよう?ってなった時に、EPO北海道さんが円山動物園さんと繋いでくれました。

安東:ちょうどその時、円山動物園さんでもESD(持続可能な開発のための教育)を支援するEPO北海道さんと連携して気候変動に関する取り組みを進めていたんです。そうした背景もあり、今回のプロジェクトとは相性がすごくよかったんですね。

浅井:初回の打ち合わせで「じゃあやりましょう!」って、開催が決定しました。スピード感がすごかったですね。

石田:えっ、市の施設なのにそれはすごいスピードですね。

浅井:はい。でも、動物園とのやり取りは僕じゃなくて、全部インターン生がやってくれたんです。ポスター、フライヤーのデザインや発注も、全部インターン生が主導。アプリ開発にも入ってもらってたので、かなり学生主導のプロジェクトになっていたと思います。

 

 

短期間での開発。タイトなスケジュールに挑んだ3か月間

石田:このプロジェクト自体、準備期間はどれくらいだったんですか?

浅井:実は半年もかかってないんですよ。アイデアが出たのが12月で、1月から開発スタート。そこから3か月でリリースまでこぎつけました。

安東:もう「この日にはイベントをやる」って決めてたので、逆算して火をつけた感じです(笑)。

浅井:先に日付を決めていたので、本当はもっとやりたいことがたくさんありました。なので、まだまだ伸びしろがあると思ってます。今回のイベントでヒントを得たインターン生たちが、「ここもっとこうした方がいい」と改善案をまとめてくれているので、次からはもっと開発の方にもインターン生に入っていただけたらなと思っています。

 

若い力が支えた、熱量のある3か月間

石田:安東さんから見て、インターンの皆さんの働きぶりはどうでしたか?

安東:いやもう、頼もしい限りです。自分の学生時代を思い返すと、こんな風に動けてなかったなって(笑)。プロトタイプを試した時も、改善案をどんどん出してくれて、本当に驚きました。今後はもっと前に出て活躍してほしいと思っています。

石田:インターン生たち、当日も本当に頑張っていましたよね。

浅井:見えないところでもたくさん動いてくれていて、メディアへの取材依頼も「道内のメディアに自分から電話してみます」と言ってくれて。結果、ほとんど断られたんですけど、それを自発的にやったという事実がすごい。普通、なかなかできないですよ。うちのインターン、けっこう「あれもやりたい、これもやりたい」っていうタイプが多くて。だから「じゃあ、全部やれば?」って(笑)。実際、全部やれる子たちでしたね。

安東:本当はアプリと連動した他の企画なんかもあったんですが、今回は初回ということでシンプルにいこうってなったんですよね。でも、インターン生から出てくるアイデアはどれも素晴らしくて。

浅井:次回はもっと規模を拡大してやることもできますね。ボランティアスタッフが集まれば……。

石田:はい!喜んで参加させていただきます!

安東:フリみたいになっちゃった(笑)

 

次なる展開へ向けて

石田:今後、このアプリ版カーボンクエストはどんな展開を考えていますか?

浅井:目指すべきは一つ。この活動をしっかりビジネスとして成り立たせること。今回はお互いに“持ち出し”でやっている部分も大きいので、これをどう収益化し、持続可能な形にするかを考える必要があります。実は今、別のアート系の専門学校の先生がこの「カーボンクエスト」に興味を持っていて、クイズに添えるイラストを学生が描いて、コンペ形式で採用していく、みたいな案も出てるんですよ。

安東:それでグッズとか出来たら最高ですね!

浅井:他には、dottではもともとAI STUDIOというAIに関する教育教材を専門学校や大学に提供していて、その教材は60以上の単元に分かれているんです。そのうちの一つに実践学習(project based learning)の教材がありまして、ここにカーボンクエストを加えられたら、導入先の学校や地域で独自にイベントを展開していくことも可能になります。幅広い地域で地域で、教材を導入してくれている人たちを巻き込んでイベントを開催したり、さらに多くの学生さんを入れていくといった活動を、我々がサポートしながら実現出来るかもしれません。

石田:いろんな発展が考えられそうですね!

 

株式会社dottが提供しているAI教材 “AI STUDIO”

 

安東:他には、動物園や水族館など、教育要素のある施設との連携をさらに広げていきたいです。それと企業スポンサーの獲得も重要な課題です。

浅井:すでに営業をかけている企業もありますし、以前お断りされた企業も、実は担当者との相性だったりもするので……。道内でもSDGsやEV、環境系に力を入れている企業は増えてきています。今回の実績やアンケート結果を資料にして、企業にアプローチしていきたいですね。

浅井:また、営業をやってみたいというインターンの子には僕の商談に同行してもらって、最終的には1人で商談までやってみてもらうつもりです。それくらいの実践の場にしていきたいです。

 

“遊びながら学ぶ”がリアルに伝わる現場体験

石田:最後に、今日一日を振り返っての感想を聞かせてください。

安東:やっぱり、動物園に来ている人って私たちのアプリや景品が目当てではなく、動物や自然が見たくて来ているじゃないですか。だからクイズやスタンプラリーも本当に楽しそうに参加してくださって、プレゼントの抽選の時も、「ぜひ当たってください!」っていう気持ちでした。

 

 

浅井:実際にユーザーが使っている様子を目の前で見られたのが大きかったですね。普段はBtoB向けの開発が多いので、BtoCのアプリを直接見て、感じて、改善に繋げていけるというのはすごく貴重な体験でした。

石田:歩きながら画面を見てる来園者の様子、あれはほんとに嬉しかったですよね。

浅井:それから、今回インターンのことばっかり話しちゃいましたけど、本当に彼女たちの存在があったからこその成功だと思っています。直接ユーザーの声を聞いて、それを即改善案に変えていける——この経験は彼らにとっても大きな財産になるはずです。

石田:私も今日参加してみて本当に楽しかったですし、インターン生のひたむきに取り組む姿勢に刺激をもらいました。今回の取り組みが、これからどんな広がりを見せていくのか、今から楽しみです!

 

インターン生たちの感想

加藤さん:「やったことのない業務ばかりで、最初は“何から始めればいいのか”すら分からないような状態でした。でも、浅井さんや他のインターン生と協力していく中で、だんだんと自分のやるべきことや、仕事の流れが見えるようになってきました。

今日は、当日になってみないとわからないトラブルが本当にたくさんあったんですけど、ちゃんと対応できたと思います。来場者の方が笑顔で帰っていくのを見たときは、本当に嬉しかったですし、達成感がありました。」

 

Sさん:「私は、アプリの開発実装に携わっていて、学年や年齢層ごとに合わせたクイズの問題を作っていました。参加してくださったお子さんたちが、すごい楽しんで「像のぬいぐるみが欲しい!」とか言って、何度もQRコードを探してクイズに挑戦して…そういう姿を見ているとやって良かったなと思えました。」

 

平林さん:「ンをは、で、で、す。
抵アプリのど、てをた。

はたくさんんに来てもらえて、大成功だったんじゃないかな。大満足です!さっきご自分へのご褒美にチュリトス買ってきました。めちゃくちゃうまかったです。外で食べてたらカラスが集まってきました。」

 

水谷さん:「今回のイベントでは、フライヤーやポスターを作らせてもらいました。時間に余裕がなかったり、情報共有がうまくいかなかったりで、社員さんにアポ取ってミーティングを調整するのも大変でしたが、それも含めてすごく楽しかったです。普段学校ではあまりマーケティングやデザインに関わることがないので、新鮮で面白かったですし、良い経験になりました。

当日も午前中はアクシデントが多かったんですが、LINEを活用した素早い連携で、午後にはチーム内での対応もスムーズになっていったのが印象的でした。

そして何より、年代も国籍もさまざまなお客さんが、みんな本気で楽しんでくれていたのが嬉しかったです。本当にありがたかったです。

 

エゾリンクさん、dottさん、そして何よりインターン生のみなさん。本当にお疲れさまでした。そして、こんな素敵な現場に関わらせていただき、ありがとうございました。また次の現場でご一緒できるのを楽しみにしています!

 


合同会社エゾリンク 会社情報

  • 代表者:安東 義乃
  • 設立:2023年5月
  • 所在地:〒003-0005 北海道札幌市白石区東札幌5条1丁目1-1 札幌市産業振興センター3階 C-8
  • 事業内容:環境教育コンテンツの開発、大学研究成果の社会実装支援、博士人材の育成支援、地域ESD拠点としての活動

 

株式会社dott 会社情報

  • 代表者:浅井 渉
  • 設立:2016年2月5日
  • 事業所
    ・東京オフィス:〒110-0015 東京都台東区東上野6-20-3 長谷川ビル2階
    ・郡山オフィス:〒963-8016 福島県郡山市豊田町3-20 S-TWIN 102号
    ・札幌オフィス:〒003-0005 北海道札幌市白石区東札幌5条1丁目1-1 札幌市産業振興センター 2階 2FC
  • 事業内容:Webシステム・アプリケーション・サイトの企画・開発・運営

     AI教育教材「AI STUDIO」の開発・提供

 

 

この記事をシェアする

私が書きました!

ビットスター株式会社の石田です。大学時代はUFO研究会副会長としてUFOを探すことに4年間を費やしました。

最近の投稿

ジョブボード

  • 社名
  • 募集職種
  • 内容
  • 給与・待遇
  • 詳細
  • 掲載終了日

ジョブボードに掲載したい企業募集中!詳しくはこちらより

pagetop