2019年7月26日、株式会社ビットスター内で開催された、JSSA札幌ピッチ&交流会2019夏に行ってきました!
この日の参加者はスタートアップを中心に、政府省庁、監査法人、銀行、証券会社、エンジェル投資家、スタートアップとのアライアンスを考えている大企業など、総勢約60人のスタートアップを関連者が参加する大盛り上がりのイベントとなりました。
交流会からスタート
イベント開始前に参加者同士が交流できるランチ&ネットワーキング会が行われます。開場時間後に到着すると、すでに大盛りあがりの会場。空気が温まった状態からイベント開始です!
イベントは一般社団法人日本スタートアップ支援協会代表の岡隆弘さんの挨拶からスタート。一般社団法人日本スタートアップ支援協会は企業上場経験者50名以上が所属。上場企業社長の顧問メンターが100名以上所属、会員企業が100社以上と、上場経験豊富なメンバーが多く所属する協会。
本イベント、札幌では2回目の開催。代表の岡さんは学生ベンチャーからVCを経験。数多い経験を踏まえ、協会は豊富な上場支援実績もあり、「私の最大の想いはIPOの興奮を味合わせてあげたい」と語りました。
第一部 上場企業経営者とのトークセッション・パネルディスカッション
第一部は上場企業経営者によるトークセッション。岡さんがモデレーターを務め、1組目はシナジーマーケティング株式会社 代表取締役会長 谷井等さん、株式会社ビジョン 代表取締役社長 佐野健一さん、さくらインターネット株式会社 代表取締役社長 田中邦裕さんが登壇。
事前に参加者から募集したテーマによるディスカッションを行います。初めに取り上げたのは「社外取締役や監査役について出すべきバリューとは?」。
現在、二社の社外取締役をしているさくらインターネットの田中さんは「社外取締役を依頼した二社に、なぜ私なのか?」と聞くと、スタートアップから返ってきた答えは「エンジニアリング組織が作れない。エンジニアリング組織を機能させるための本質的な意見がほしい」。他には「無邪気に意見がほしい」「形式的になっちゃう社内を、”違う”という役割が欲しい」との答えがあり、それが田中さんとしての社外取締役のバリューとなるようです。
「(社外取締役に依頼するために)どうやって出会いを作っていくのか?」との質問に対して、田中さんは「二社は突撃されて引き受けた。依頼したい方がいるなら、突撃していくべき」と答え、シナジーマーケティング谷井さんは引き受けた経緯については「飯行きましょう、と言われ、その場で提案されました」と答えました。その後は社外取締役の生々しい報酬の話も。
2組目は株式会社イルグルム 代表取締役社長 岩田進さん、Klab株式会社 取締役会長 真田哲弥さん、株式会社北の達人コーポレーション 代表取締役社長 木下勝寿さん。
2組目でも再び取締役の話に。Klabの真田さんは「常勤監査役だけはしっかりした良い人を見つけることが大事。ただ、意外に難しい。監査役経験がある人が必要」と語ります。常勤監査役の人選が上手くいかないと、手戻りが多く、上場までの時間が長くなってしまうそうです。
「常勤監査役をどうやって見つけるのか?」との質問には「仲介業者の知り合い」と答えます。一方で「社外取締役をお願いするには突撃がいいと思います。大体は断りますけど(会場笑)」と真田さんは答えます。
「社外取締役のお願いは、言われて悪い気がする人はいないので、数を打ちまくりましょう。万が一、全員から”やるわ”と言われたら困りますけどね(会場笑)」と会場を沸かせつつ、「仕組みが欲しい会社の社外取締役を頼むのがいいと思います」と話します。その時はGoogle日本法人に関係がある方を社外取締役にしたようです。
「社外取締役の条件は、知名度があって、業界に顔が利く、ことが大事。IPOする時に、目論見書にある時に顔があると、株価が上がるじゃないかな、という顔ぶれが大事。そして”この人に言われたら、従わざるを得ない”というような尊敬できる人が大事ですね」と自身の経験を踏まえて語りました。
その後は「創業役員の処遇」のテーマに。「上場時、7人で鐘をついたけど、今は自分一人しか残っていません。上場後はいろんな話があり、社内の取締役と話が合わなくなります。上場企業を経験した経営者を取締役に入れないと、盛り上がらない」(イルグルムの岩田さん)「バンドと起業は上手くいってもいかなくても仲間割れする。上手く行くのは強烈なリーダーシップがあるかないか。背負っているリスクの差で、友達同士でも差がついてしまう」(北の達人コーポレーションの木下さん)と実体験から生々しく語られました。
第二部 ピッチ&公開メンタリング
第二部はスタートアップによる制限時間7分のピッチ。その後「公開メンタリング」として、質疑応答が15分。上場経験者からのアドバイスがありました。
1人目のピッチはマンション経営における空室をゼロにする満室ナビの代表取締役社長 芝哲也さん。質疑応答の後、芝さんからは会場の方に「販売代理店で注意すべきことはなんでしょうか?」と逆質問。
Klabの真田さんは「管理会社のビジネスモデルを変えたほうがいいのでは? 必要性を感じないのでは? 喉が乾いていない人に、喉の乾きを伝えるようなものではないか?」という問題提起から始まり、例えば「大手ポータルサイトにユーザー満足度一位というバッジを提供するバッジモデルはどうか」という具体的な提案も出ました。
2人目のピッチは業務用ヒアラブルIoTサービス、Zeeny Proを紹介する株式会社ネイン 代表取締役社長 山本健太郎さんでした。経営課題はハードウェアとの話に。
質疑応答でKlabの真田さんは「社長たちで集まると、”次のインターフェイスはヒアラブル端末ではないか”という話になります。ただ、ヒアラブル端末は今後、Appleが独占に動いたり、安く作る中国系も強い。実はアプリーケーションレイヤーに可能性があるのではないか」とのアドバイスも飛び出しました。
第三部は1人30秒のエレベーターピッチがあり、10人の方がピッチ。その後は記念撮影を行いました。
最後にネットワーキングタイムとして、交流会が行われました。
取材を終えて
岡さんは始めの挨拶で「今日のテーマは運命的な出会いがあるようなイベント」と語りました。「運命的な出会い」とはなんでしょうか。「JSSA札幌ピッチ&交流会」が一般的なイベントとは違う点。それは参加資格があり、招待制であること。
イベントページによると「参加資格:スタートアップ、IPOビジネス関係者、政府地方自治体、大学、大企業、金融、メディア、投資家の方になります。 顧問、スポンサー、北海道経済産業局、ビットスター、会員からの紹介が必要です」という参加資格があります。
さらに同ページの”目的”によると、「時間を無駄にしないために参加者情報リストの事前配布やfacebookによる事前マッチングを行いますので非常に生産性が高いマッチングイベントになります」とあります。本イベントはただの見学者はおらず、いずれも何らかの目的を持った当事者の参加者のみ。単なる名刺交換で終わらず、交流する価値が高い方のみが参加するイベントになったことでしょう。
事前に配布される参加者リストには参加者の社名、役職、名前、事業内容などはもちろんのこと、「事業提携ニーズ」も記載されています。あらかじめ「イベントではあの人と交流しよう」という目的を持って、イベントに参加することができます。この仕掛けには感心しました。人と人とのマッチングを真摯に考えての仕掛けでしょう。
本イベント、私は初めての参加でしたが、様々な支援を行う仕掛けに「これがスタートアップ支援の方法か」とイベント中何度も感嘆しました。スタートアップの方にとっては、確実に目標に前進できるイベントとなったことでしょう。
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