「北海道の資産を活かし、世界に挑戦するスタートアップ」が登場したOpen Network Lab HOKKAIDO 2nd Batch Demo Day+STARTUP CITY SAPPOROに行ってきた

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「北海道の資産を活かし、世界に挑戦するスタートアップ」が登場したOpen Network Lab HOKKAIDO 2nd Batch Demo Day+STARTUP CITY SAPPOROに行ってきた

2019年9月19日(木)17時30分より、Open Network Lab HOKKAIDO 2nd Batch Demo Dayが道新ホールで開催されました。平日にも関わらず、訪れた参加者は約300名。期待度の高さを見せます。

取材・撮影 : 赤沼俊幸 取材日: 2019年9月19日(木)

Open Network Lab HOKKAIDO 2nd Batch Demo Day

Demo Dayの前にSTARTUP CITY SAPPOROの記者発表が開催されました。

STARTUP CITY SAPPOROとは?

ステージに秋元克広札幌市長が登壇。札幌市がこれから始めるSTARTUP CITY SAPPOROについて記者発表が行われました。スピーチの一部と、STARTUP CITY SAPPOROの概要について紹介します。

STARTUP CITY SAPPOROについて発表する秋元克広札幌市長
STARTUP CITY SAPPOROについて発表する秋元克広札幌市長

秋元克広札幌市長 : 今、AI、IoTなど先端テクノロジーが企業経営や就労のあり方、さらには市⺠生活そのものを大きく変革をし、その技術を活用したスタートアップ企業群が街の活力を牽引し始めております。今回のSTARTUP CITY SAPPOROプロジェクトでは、未来の札幌を牽引する新たな街の力を生み出すために、世界を見据えた大きな取組みを進めて参ります。

STARTUP CITY SAPPOROは札幌ならびに北海道でのスタートアップエコシステムの構築、人材育成を目的とした新たなプロジェクト。推進組織のSTARTUP CITY SAPPORO事務局は一般財団法人さっぽろ産業振興財団株式会社 D2Garageで組織されます。

STARTUP CITY SAPPOROのスキーム
STARTUP CITY SAPPOROのスキーム

STARTUP CITY SAPPOROで主に実施するプロジェクトは以下のとおり。

普及啓発

北海道のスタートアップシーンや起業ノウハウを発信するWebページの運営、イベント出展。

相談窓口(STARTUP CITY SAPPORO CAFÉ)

起業の準備から事業相談、資本政策、知財戦略などスタートアップに関するあらゆることをシームレスに相談できる窓口を定期的に開設。

高校生向け(STARTUP CITY SAPPORO U-18)

起業体験プログラムを通じて、自らのアイデアを形にする力、アイデアを伝える力など、 アントレプレナーシップ(起業家精神)の基礎となるスキルの取得を促進。

大学生向け(STARTUP CITY SAPPORO ACADEMIA)

スタートアップの成長に欠かすことのできない「課題解決力」を身につける短期集中型の連続講座を 実施するほか、先輩起業家によるトークイベントなどを提供し、起業しやすい環境を整備。

オープンイノベーション(STARTUP CITY SAPPORO OPEN INNOVATION PROGRAM)

社会課題や企業のアセットとスタートアップの先進的なサービスやプロダクトをつなげ、新たな価値を 生み出し次世代のまちづくりに生かす「都市型オープンイノベーションプロジェクト」を実施。

STARTUP CITY SAPPORO OPEN INNOVATION PROGRAM
STARTUP CITY SAPPORO OPEN INNOVATION PROGRAM

秋元克広札幌市長は以下のように締めくくりました。

秋元克広札幌市長 : このSTARTUP CITY SAPPORO プロジェクトを通じて、国によるスタートアップ・エコシステム拠点都市の選定を目指すとともに、札幌市及び北海道が持っているポテンシャルを最大限に開放させて、世界に誇るスタートアップ・エコシステムの拠点都市として、 魅力と活力を創造し続ける街の実現を目指して参ります。

札幌市はIT産業の集積地であることから「サッポロバレー」と評され、この土地か ら数々のイノベーションが生まれました。先人が創り上げたこの偉業を糧にして、次のステージ「STARTUP CITY SAPPORO」で、世界に更なるインパクトを与えて参ります。

STARTUP CITY SAPPOROを共に推進する株式会社デジタルガレージ 林郁代表取締役(写真左)、秋元克広札幌市長(写真中央)、株式会社北海道新聞社広瀬兼三代表取締役社長(写真右)
事務局運営を行う 林 郁 株式会社デジタルガレージ 代表取締役 兼 社長執行役員グループCEO(写真左) / 秋元 克広 札幌市長(写真中央) / 広瀬 兼三 株式会社北海道新聞社 代表取締役社長(写真右)

Open Network Lab HOKKAIDO 2nd Batch Demo Day

後半はOpen Network Lab HOKKAIDO 2nd Batch Demo Dayが開催。Demo Dayに先立ち、株式会社D2Garageコミュニティマネージャーの赤坂美奈さんから、2期生の進捗報告がありました。

株式会社D2Garageコミュニティマネージャーの赤坂美奈さん
株式会社D2Garageコミュニティマネージャーの赤坂美奈さん

赤坂さんの説明によると、今回、ピッチを行うのはOpen Network Lab HOKKAIDOの2期生。「北海道の資産を活かし、世界に挑戦するスタートアップ」をテーマとして、2019年3月に2期生の募集を開始。今回の応募内容としては、農業、漁業の一次産業、昨年の北海道胆振東部地震の影響による社会・地域課題の解決が多く、その他には、人と人を繋げるマッチング、AIが引き続き多かったとのこと。

Open Network Lab HOKKAIDOの2期生
Open Network Lab HOKKAIDOの2期生

多数の応募から5社が採択。5社はOpen Network Lab HOKKAIDOの2期生として、6月にキックオフを行い、3ヶ月間のプログラムを経て、本日を迎えました。

週に1回の投資家や先輩起業家からのメンタリング
週に1回の投資家や先輩起業家からのメンタリング

プログラムは週に1回の投資家や先輩起業家からのメンタリング、中間地点ではメンターへの報告、残り1.5ヶ月は事業内容のブラッシュアップ。9月9日にはピッチを磨き上げる2日間の合宿の開催などを行いました。

豪華なメンタリング陣
豪華なメンタリング陣

プログラム紹介後は1社代表者1人が登壇し、5分間のピッチが行われました。

Fant – 株式会社Fant

株式会社Fant

株式会社Fantからは髙野沙月さんがピッチ。開発したのは地域を越えてハンターがつながるプラットフォーム。

高野さん含め、チームの2人とも狩猟免許を持つハンター

高野さん含め、チームの2人とも狩猟免許を持つハンター。狩猟免許を持ち、ハンターの人脈があります。昨今、農作物への鳥獣被害が増しています。これに解決する手段としてはジビエの利活用。しかし、現在の利活用率は7%、30億円。残りの400億円が廃棄か、自家消費となっています。ここ最近はメディアでの紹介などにより、若者のハンターは増加傾向にありますが、現役ハンターそのものの人口は高齢化により、年々減り続けています。

ハンター人口の推移

ですが、現役ハンターと、ハンター志望者を繋げるには人間関係上、なかなか簡単ではありません。そこで株式会社Fantが解決する課題は「ハンター内での技術の伝達」。そこで作るソリューションは技術を教え合うプラットフォーム、Fantを作ります。

ハンターを探す機能

機能は全国のハンターを探す機能、動物の解体のスキルからハンターを探す、位置情報からハントの記録を残すことができる。ハンター同士で交流することも可能です。開始から一週間での登録者は40人。ハンターを増やすための自治体との協議中。最後に高野さんは「私たちはFantを通して、これまでのハンターのイメージを覆し、新しい狩猟文化を作っていきたい」と締め、ピッチを終えました。

スポルnote – 株式会社スポルターレ

スポルnote

株式会社スポルターレからは大坪英則さんがピッチ。開発したのはアスリートの健康を支えるメディカルコーチアプリ。

株式会社スポルターレからは大坪英則さんがピッチ

大坪さんは「スポーツには大きな危険が存在します。それはケガです」と問題定期。現役のスポーツドクターの大坪さんは日頃からスポーツによるケガに接した経験から、練習記録をつけたり、専門家からのアドバイスを受けたり、メンタルサポートがあれば、「スポーツのケガを防げたのではないか」と感じるようになります。

アスリートが抱える課題

そこで開発したのはアスリートの練習を支える「スポルnote」。メディカルの記録機能では、デジタル端末にタップすると、クラウド上で一括管理。提携病院で問診データとして使えます。医師や理学療法士が入力することも可能。ユーザーはいつでもどこでも自分の記録を見ることができます。

メディカルの記録

記録はLINEで記録をつけることも可能。友達と会話するように楽しく記録をつけられます。これらの記録を元に、専門家による個別のサポートにも使用できます。サポートするのは整形外科医や理学療法士、アスレチックトレーナー、スポーツ心理カウンセラー、管理栄養士、アスリートフードマイスターなど多方面の専門家が参加を表明しています。

各分野の専門家がサポート

現在は北海道内でユーザー7600人、40チーム、13病院に導入決定。最後に大坪さんは「私たちはスポーツのケガで苦しむ人をゼロにして、健康で活力のある社会を目指します」と締め、ピッチを終えました。

issue – 株式会社TREASURE IN STOMACH

お菓子のセミオーダー サブスクリプションサービス

株式会社TREASURE IN STOMACHからは柴田愛里沙さんがピッチ。開発したのはお菓子のセミオーダー サブスクリプションサービス。

株式会社TREASURE IN STOMACHからは柴田愛里沙さんがピッチ

アレルギー体質で、ビーガン経験もある柴田さん。自身の経験を元に「安心できる食べ物が手に入らない」「材料の表示がわかりにくい」という課題を感じていました。その課題を解決するために、第一歩として、乳製品、小麦、卵を使わないお菓子の店舗と製造拠点を札幌にオープン。札幌には様々な方が来店し、ローカルの問題は解決に向かっています。

お菓子の店舗と製造拠点を札幌にオープン

一方、この課題は日本、世界に広がっています。そこで開発したのがお菓子のセミオーダーサブスクリプションサービスのissue(イシュー)。ユーザーはサイトに訪れ、いくつかの質問に答えます。自分にあったお菓子のセットを選択できます。そのお菓子は定期的にユーザーの元に届けられます。

食の制限にある人の90%のカバーが可能

お菓子はすべて、アレルギー7品目に対応。動物製品不使用。カフェインフリーにも対応。食の制限にある人の90%のカバーが可能。2週間の事前予約を実施したところ、事前予約は54件、継続率は98%。北海道産の米粉、札幌近郊の果物を使用。

北海道産を使用

アンケートを取ったところ「食に関する正しい情報を得たい」「同じ課題を持っている人と情報交換したい」ということがわかりました。この気持ち答えるためにコミュニティを作ります。オンライン上で、相談しあえる場所も提供します。その情報を元に価値のあるコンテンツを提供し、継続率を高めます。最後に柴田さんは「私たちはissueのお菓子を通して、ありとあらゆる価値観を越えて、お互いに認め合う世界を目指していきます」と締め、ピッチを終えました。

2gaijin.com – 株式会社KitaLabs

2gaijin.com - 株式会社KitaLabs

株式会社KitaLabsからはGabil Aliyevさんがピッチ。開発したのは留学生のための中古品売買プラットフォーム。

留学生は様々な国やコミュニティ別に、FacebookやWeChat、LINEグループなどのSNSを駆使

留学生は様々な国やコミュニティ別に、FacebookやWeChat、LINEグループなどのSNSを駆使しています。留学生同士の売買もSNSで行っています。北海道内では約1000の出品があるそう。しかし、SNSの取引は大きな不便があります。それを解決するために開発したのが2gaijin.com。留学生のための中古品売買プラットフォームです。

2gaijin.comは10ヶ国語に対応

2gaijin.comは10ヶ国語に対応。留学生内のコミュニティで早く安く、配達し、即日配達も可能。カテゴリ別に分けられ、出品物も探しやすくなっています。サービス開始から6ヶ月、取引仲介数は530回を越えました。

マネタイズ

マネタイズは売買額の3〜10%の取引手数料を、または配送料を得ます。当初は北大留学生は約2100人がターゲットですが、今後は日本全国の留学生は30万人、在日外国人約267万人を狙っていきたいとのこと。最後にGabilさんは「Make Japan strong through Gaijins!」と締め、ピッチを終えました。

vetell – 株式会社ベッテル

vetell

株式会社ベッテルからは池田哲平さんがピッチ。獣医師で牛の情報を共有できる電子カルテシステム。

記録はあるが、情報が散乱

現役の産業動物の獣医師の池田さんは、牧場コンサルティングをする中で「毎日の記録は手書きで散乱し、記録が診療に活かせない」という課題を感じます。アンケートでは、85%の農家が”記録の活用ができていない”と回答。牛個体の健康管理に記録を活用できないことによる疾病の増加と収益低下の問題が発生します。

農家さんの日常の記録と、獣医師による診療の記録を活用します。効果的な治療と、疾病の予防が可能。牛は健康になり、生産性がアップ、牧場の収益が向上

疾病による最悪の結末は牛の死亡。牛一頭による損失は最大120万円。飼育頭数の5%の死亡で赤字になります。vetellではこの課題を解決。農家さんの日常の記録と、獣医師による診療の記録を活用します。効果的な治療と、疾病の予防が可能。牛は健康になり、生産性がアップ、牧場の収益が向上します。

餌の種類や摂取量を入力

vetellは餌の種類や摂取量を入力。グラフで可視化。治療情報を簡単な選択方式で入力可能。治療情報は単価を設定し、個体の経費も可視化。売上入力による個体の損益もリアルタイムに把握可能。

導入数

現在の導入数は牛47000頭、農家100軒、獣医師15人。課金は一頭ごとの年間利用料、3000〜5000円を想定。最後に池田さんは「私たちが目指すのは畜産のデジタルインフラです。vetellは世界中の農家に幸せな牛飼いの毎日を提供します」と締め、ピッチを終えました。

審査結果の発表

5社によるピッチ後はsatisfood、AIR SHARE、トラクター運転支援アプリAgriBus-NAVIのGuest Pitch。その後、審査結果の発表が行われます。

オーディエンス賞はFant。会場での投票数が最も多かったチーム
優秀賞はissue。柴田愛里沙さんによるスピーチ
特別賞はissue。柴田愛里沙さんによるスピーチ

最優秀賞はvetell。池田哲平さんによるスピーチ

最後に2期生、審査員で記念撮影。

取材を終えて

通常、このようなピッチイベントは上手い人も下手な人もいて、クオリティにバラツキがあるものですが、本イベントはどの発表者も粒ぞろいの上手さ。筆者は仕事上、様々なピッチを見てきましたが、その中でも指折りの完成度。この日に至るまでにはかなりの練習量があったことを感じます。

もちろん、ピッチの上手さだけではなく、ビジネスプランはどれも納得するばかり。事前説明によると、ピボット(方針転換)もあったと聞きますが、ここまでの完成度に辿り着いたのはメンバーの頑張りや、プログラムの優秀さがあるのでしょうか。

最後の写真はイベント終了後の交流タイム。各発表者と名刺交換ができます。発表者のブースにはどこも長蛇の列ができていました。私も各発表者と名刺交換をしましたが、あるブースでは20分ほど待ちました。交流タイム終了まで交流が続きました。参加者が交流タイム終了ギリギリまで話したいことがあったぐらい、各ピッチの熱が参加者の心を確実に動かしたのではないでしょうか。

大盛りあがりの交流タイム

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