2016年4月16日に札幌市産業振興センターで開催されたPHPカンファレンス北海道2016に取材&参加してきました!
インタビュアー・取材・撮影・構成 : 赤沼俊幸 取材日 : 2016年4月16日
札幌市産業振興センターは札幌市営地下鉄東西線の東札幌駅から徒歩7分の場所にあります。
「東札幌駅を降りてすぐ」といえばダイエーでしたが、今はダイエーがなくなり、イオンになっています。そんな驚きも感じつつ、産業振興センターに歩いて行きます。
札幌市産業振興センター内の一部がPHPカンファレンス北海道2016の開催場所です。200名超の参加申込があり、受付ではその参加人数を想定した手提げ袋と、首かけストラップが用意されていました。
受付では、さくらインターネットの手提げ袋と、協賛各社のチラシと、PHPカンファレンス北海道2016オリジナルの首かけストラップをいただきました。
実行委員長の瀧口高志さんインタビュー
キタゴエではPHPカンファレンス北海道2016実行委員会、実行委員長の瀧口高志さんにお話をお伺いしました。瀧口さんは株式会社インフィニットループに所属されています。
ーーPHPカンファレンスが北海道で開催されるのは4年ぶりとなります。今回どのような経緯でPHPカンファレンス北海道2016が4年ぶりに開催されることとなったのでしょうか。
瀧口さん : 昨年の8月に開催されたYAPC::Asia Tokyo 2015に行ったときに、ちょうどPHPカンファレンスの関係者の方とお話する機会がありました。そのとき、「PHPカンファレンスを北海道でもやりませんか?」と声を掛けていただき、開催することになりました。そこからおよそ半年ぐらいの準備期間があり、今回、開催となります。
ーー実行委員会はどれぐらいの規模なんでしょうか
瀧口さん : コアメンバーは10人いないぐらいの少人数です。加えて、当日スタッフが5人ぐらいお手伝いいただいています。
ーーPHPはWeb業界では人気のある言語ですので、「北海道でもPHPカンファレンスをまたやってほしい」との声がよくあったと思います。その中で今回、4年ぶりに開催。苦労されたことはありますか?
瀧口さん : 実は自分自身がPHPカンファレンス北海道に参加するのも初めてなんです。参加経験のある方に聞きながら、手探りで開催することができました。
わからないところは多かったのですが、前回開催したときの関係者の力添えもあり、経験が薄いところは関係者の方に教えていただき、ここまでやってこれたと思います。このような規模のイベントは初めてで、思っていた以上にやることがありました。どの程度の準備をしたら良いかという規模感がわからず、苦労しました。
ーーなるほど。では、瀧口さん自身は別の地方のPHPカンファレンスに参加されて学ばれたのでしょうか?
瀧口さん : いえ、実は私はPHPカンファレンス自体の参加も初めてで(笑) 参加の前に運営をすることになりました(笑)
ですので、関係者の方によく聞きました。PHPカンファレンスの動画はたくさん公開されていますので、その動画を見て、「PHPカンファレンスってこういうものだな」というのを勉強しました。
ーー最後にメッセージをお願いします
瀧口さん : 今回開催するにあたり、東京で開催されるような大元のPHPカンファレンスを地方にも持ってこれたらいいな、という意識でやっていました。「PHPカンファレンスってこういうものだな」というのが参加者の方に伝わりましたら、嬉しいです。
ーー瀧口さん、お忙しい中、インタビューを受けてくださり、ありがとうございました!PHPカンファレンスに参加経験がない中、実行委員長をされているのは驚きでした。
展示会場
PHPカンファレンス北海道ではセミナールームの他に、展示会場があります。展示会場の様子をお伝えいます。
展示会場に入ってすぐ目に入るのは白い恋人の箱だけで作られた白い恋人タワーです!
インタビューで瀧口さんに伺ったところ「白い恋人タワーには、PHPカンファレンスに北海道らしさを入れたいという思いがありました。『白い恋人でタワーを作ったら面白い』という意見がスタッフから上がってきて、面白そうだったものが実現しました(笑)」とのことでした。
株式会社インフィニットループのブースではVR体験コーナーがありました。
私もVR体験をしてみました。VRの中には人が映っていたのですが、実際にすぐ目の前に人がいるような「近い」という感覚を持ちました。
PHPの開発者に大人気のPhpStromを販売をしているサムライズムのブースです。サムライズムの山本さんはチェコで開発されているPhpStormの良さに惚れ込み、日本での販売も行っています。
山本さんにPhpStormの特徴はなんですか?とお聞きしたところ、「PhpStormは賢くて、書いているだけで、コードの重複箇所を教えてくれたり、コードのインスペクションといって、書き換えたほうが良いところを教えてもらえます。PHPが上手い人とペアプログラミングをしているような恩恵を受けられるIDEです。それに従って直すだけでコードのクオリティを上げてくれます」との回答をいただき、以前PHPを少し書いていた私は大変興味を持ちました。
さくらインターネットさんのブースでは、さくらインターネットの各サービスについての紹介があります。
さくらインターネットに出展している理由について聞きました。「ユーザーのコミュニティ活動を活発化すれば、当社のサービスもより一層使っていただけると考え、参加しています。当社が石狩にデータセンターがありまして、日本初のクラウドサービスというで、日本が舞台で行っており、その中でも北海道を地元という気持ちで参加しています」
手元にあるのは「ら」と「ぶ」のシール。さくらインターネットのユーザーグループ、「さくらクラブ」のシールです。このシール、「さ」「く」「ら」「く」「ら」「ぶ」と6種類のシールがありますので、例えば「さくらぶ(さくら・ラブ)」などと並べ替えたりすることもできることを教えていただきました。
PHPカンファレンス北海道2016オープニング
セミナールームAでは11時よりオープニングが行われ、実行委員長の瀧口高志さんがPHPカンファレンス北海道の説明、注意事項などを話し、PHPカンファレンス北海道2016がスタート!
PHP7ブートキャンプ
デジタルサーカス株式会社副団長CTOの長谷川智希(@tomzoh)さんからは「PHP7ブートキャンプ」として、2015年12月に正式リリースされたPHP7についての解説。
実アプリケーションの100%以上のパフォーマンス改善、メモリ使用量の低減が可能などのPHP7のメリットの紹介から、Null合体演算子、宇宙船演算子、スカラー型宣言、関数の返値型指定などの新機能の紹介が行われました。
実際にPHP7を導入するための環境の作り方についてはパッケージマネージャーでの利用方法について紹介。
気になる速さですが、WordPress3.6のトップページを100回リクエストしたときに時間とCPUについて紹介。特にDrupal8では速さが顕著になったようです。さらにWordPress4.1.1でPHP7の恩恵を受け、もっと早くなります。
シュキーンを支えるSonarQubeの技術
勤怠管理システムのシュキーンを開発している株式会社インフィニットループの山田博之さんより、「シュキーンを支えるSonarQubeの技術」として、SonarQubeのお話についての導入事例解説です。
SonarQubeはコード品質を継続的に監視するためのプラットフォームであり、多くのプログラミング言語に対応しています。オープンソースソフトウェアであり、無料で利用することができます。
製品のバグやコード標準準拠などを確認することができます。SonarQubeの採用によって、コードの品質がどんな状態かをチーム間で共有可能になったようです。
【ゲスト講演】PHPer人生、一度はフレームワークを作っておこう!
東京からいらっしゃった石田絢一さん(@uzulla)さんからは「PHPer人生、一度はフレームワークを作っておこう!」として、フレームワークを作ることへのおすすめと、その心得のお話です。
まずは、フレームワークを作る前にフレームワークとは何なのかというお話です。石田さんの調べによると、大小合わせてフレームワークは1958もの数があるそうです。その数を増やすべく行う、オレオレフレームワーク作り。最初に、オレオレフレームワークを作るために参考となり、やる気を出す他のフレームワーク情報や、tipsをブックマークして集めます。
その他に、普段抱えている既存フレームワークの不満をあげていったり、オブジェクト指向プログラミングの教科書で勉強したり、開発にはgit、PhpStormの利用がおすすめとのことです。
「無計画、無責任、無テスト、有限時間が必要」とおすすめの指針として紹介。「有限時間に終わらせるということが重要です。ビギナーはルーターとテンプレートエンジンを作りましょう」
避けるべき点も紹介。「以下のことは避けよう。他人に使わせる。仕事や個人サービスの責任のところに使う。完成させられないこと」
どうしてオレオレフレームワークを作るのでしょうか。石田さんは「本当にゼロからつくってみないと、わからないものがわからないのです。オレオレフレームワークという成果物そのものよりも、作る過程で色々なものが得られます。普段使うだけのライブラリの意味も作ることによって、わかってきます」
「もちろん力も上がります。コード読解力も上がります。コードを目的をもって見ることができます。工夫を無視し、シンプルに書きなおすと、既存フレームワークの工夫が見えてきます。普段使っているフレームワークのコードが複雑なのは特別なことをやっていることに気づきます」
「オレオレをした後になにをすればいいのか?」と、石田さんが会場に問いかけます。石田さんの答えは・・・
「捨てよう!」
会場が笑いに包まれます。石田さんの解説「オレオレフレームワークを使うのは微妙です。使いたいオレオレフレームワークは、実は機能的には使えない。オレオレフレームワークは尖りがちで、他人には理解されない。責任がともなうと、オレオレフレームワークの自由さ楽しさが、辛さに変わってしまいます」
最後に質問タイムが設けられました。「databse.phpはどうなっているんですか?」との質問があると、下記の画面が出ました。
会場はこの日一番の大爆笑に包まれました。
【基調講演】『例えば、PHPを避ける』以降PHPはどれだけ安全になったか
徳丸浩さん(@ockeghem)さんからは「『例えば、PHPを避ける』以降PHPはどれだけ安全になったか」として、2007年以降のPHPセキュリティについてのお話です。IPA発表の2007年6月セキュアプログラミング講座で「例えば、PHPを避ける」という記述があったことがあり、PHPはセキュリティに弱いという印象があります。その印象からPHPが実際どう変わってきたかの解説でした。
スライドが公開されていますので、こちらをご覧ください。
LT(ライトニングトーク)
最後のセッションでは1人5分のLT(ライトニングトーク)が行われました。
PHPが恋しい話
高橋慎一さん(@takapyyy)からは「PHPが恋しい話」です。
業務中ずっとPythonを書いている高橋さん。8年間PHP書いていません。しかし、「PHPがディスられたりするけど、元カノ(PHP)が恋しい」という気持ちになります。
Pythonを使用していくなかで、気づいたPHPが便利な点として、「Composerがめっちゃ便利、Carbonが便利、PSRが嬉しい、DB接続が楽」を紹介。
I♥正規表現
岸田健一郎さん(@sizuhiko)さんによる「I♥正規表現」です。
「検索した結果、出てきた正規表現コピペしてませんか?」と岸田さんは問いかけます。「複雑すぎる正規表現はわからない。後輩が出してきたコードレビューはチェックできない」
そこでRubyで実装されていたHEXPRESS(エッチエクスプレス)をPHPへ移植、PHP版HEXPRESSを作った話を紹介。「もう正規表現なんかで消耗しません」
ドキュメント翻訳のススメ
宮川貴子さん(@NEKOGET)さんからは「ドキュメント翻訳のススメ」です。
翻訳レポジトリを作り、ドキュメントを翻訳することによって、英語力が上がる、と宮川さんはドキュメント翻訳の良さを説明します。ドキュメント翻訳をしていくと、気が付くと本家へプルリクエストを投げているようになったようです。「素敵なアプリ、素敵なフレームワーク、いろんなドキュメントが日本語で読める素敵な世界が訪れますように」と思いを込めてお話しました。
m BaaSの話
小山 哲志さん(@koyhoge)さんからは「m BaaSの話」です。
国内外で多く使われていたParseですが、2017年1月28日にサービス終了するアナウンスがありました。Parse難民の駆け込み寺として、ニフティクラウド mobile backendの紹介。ニフティクラウド mobile backendはPHPのSDKを開発、スマホのプッシュ通知も使え、無料プランもあります。
ペットを監視するPHP
藤田大輔さんからは「ペットを監視するPHP」の話です。
Raspberry Piを利用したペットの監視システムを構築を紹介。結果として「いつでもうさぎの様子を見れるようになった」「仕事中でもうさぎの様子を見えるようになった」「先輩から冷たい目で見られるようになった」と話し、会場を笑いに包まれます。
ある日、うさぎの様子が見られなくなり、心配に家に帰ってみると、「ゲージにカメラが転がっていました。うさぎにかじられていたようです」とIoTならではの現場のリアルを伝えました。
クロージング
クロージングでは再び、実行委員長の瀧口高志さんがPHPカンファレンス北海道2016をまとめて、締めくくりました。
210名にものぼる来場者数、ゴールドスポンサー、シルバースポンサー、公募スピーカー、共催、デザイナー、そして最後に運営メンバーを紹介。
最後は「参加者の貴方にありがとうございました。みなさま良きPHPライフを!」と締めて、PHPカンファレンス北海道2016は終わりを迎えました。
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