2019年12月9日(月)に、「STARTUP CITY SAPPORO MEETUP #2 “融資と出資のメリット・デメリット”」が道新プラザDO-BOXにて開催されました。
起業している人・スタートアップに興味のある人・資金調達を行ったことのない人を対象にしたこのイベントは、 札幌市のスタートアップの育成・支援を通じて次世代のまちづくりを目指すプロジェクト「STARTUP CITY SAPPORO」の一環。今回は株式会社デジタルガレージの原大介氏が、「融資と出資のメリット・デメリット」についてレクチャー形式のトークイベントを繰り広げます。
原大介氏、自己紹介
当日は15:00から資金調達に関する個別相談会を実施していて、18:00の開場前から熱心に話込む人の姿がありました。
開場と同時に続々と人が集まり、開始時間にはほぼ満席状態に。
まずは、原大介氏自己紹介からスタートです。2005年に公認会計士試験に合格後、新日本監査法人にて、銀行など幅広い分野の監査を行った後、シリコンバレーで企業のIPO監査を担当していました。
ファイナンスや企業価値向上などに取り組み、融資や出資の実績としては、CFOとして、スタイルアクトで5億円、日本環境設計で80億円の資金調達を実現。その後デジタルガレージに入社し、現在に至ります。
そもそもファイナンスとは?
「ファイナンスとは資金調達だけではなく、外部からの資金調達、資金の創出、資産の最適配分、ステークホルダー・コミュニケーションという4つの工程を全て含んだものを指します。論点も多いので、今回は外部からの資金調達に焦点を絞ってお話させていただきます」
外部の資金調達について、返済不要の補助金・資本金と、返済が必要な借入金の3つを挙げていました。補助金は難易度が高いと原氏は言います。
「色々な補助金があるが、もの作り補助金を例に挙げると申し込んでも3割位しか通らない。金額が高くなればなる程通らなくなる」本日金融機関の方がいらっしゃると思わなかったので、難易度を書くのは憚れます、と会場を笑いで和ませて、続けます。
「一般的に、借入金は資本金よりも楽。お金が出るまでの期間は、補助金はタイミングが限られているので時間がかかる。資本金も早くて3ヶ月~半年とか。借入金は早ければ1ヶ月で、資本金よりは早い」
融資(デット)と出資(エクイティ)どちらがいいの?
今回は融資(デット)と出資(エクイティ)に絞ってお話させて頂きます、と前置きをして、実例として 2社の実例をあげながら説明してくれました。
「デッドのほうがちゃんと準備をすれば、多く調達出来る。その理由として、エクイティは時価総額の制約がある。創業時のアイデアしかない状態で付く時価総額は、4千万円から1億円くらい」調達出来る目安は10%で、億でも15%から20%。1千500万円~2千万円くらいになるそうです。
「皆さんエクイティを先に調達してから、デッドへという流れが多いが、時間がかかるのでデットを先にして、同時にエクイティもという流れの方が良い。補助金はタイミング次第。ただ貰うまでも、貰ってからも大変なので、メインではやって行くものではない」と原氏は語りました。
融資(デット)一般と例外
「まだマネタイズができていない(赤字の)創業期のスタートアップが金融機関から直接融資(プロパー融資)を行うのは難しい」銀行の融資を創業期で受けるのはナンセンスだと原氏は言いました。
話は政策金融公庫についてに。政策金融公庫は政府系金融機関のことで、条件が厳しいけれど、スタートアップの応援をしているそうです。
「限度額3000万円が無担保・無保証でというのが特徴で、これは破格の応援。何も決まっていないアイデアに対してこの額を出すのはすごいこと。何故なら、3000万円稼いでいる人はほとんどいない。1000万越している年収の人でも2%しかいない。この額を出すということを考えると、日本はスタートアップを応援していないわけではなく、アピールが下手なだけ」
「創業当初はアイデアしかない状態なので、まずは事業計画書をきちんと1枚にまとめること。お金を借りるのは大変なことで、銀行員は意外と皆さんを信用している。けれども説得力がある計画書を提示してくれないと貸せない」銀行員に逆切れするのはお門違いだと思います、とのこと。確かに…。
話はエクイティについてに移ります。
「エクイティはマニュアルが無い。独自理論の人が多いので参考しにくいけれど、失敗事例は共通なのでそこを参考にしたら良い」と失敗事例を挙げ、「経営者はうまく行った話しかしないけれど、悪い話を聞いたほうがいい」と締めました。
質疑応答
質疑応答では、「例えばあと3000万円、公庫で借り入れが出来る場合、出資(エクイティ)を受けるよりは借り入れ(デッド)のほうが良いでしょうか?」 という質問が投げかけられました。
「厳密な答えは出来ないので、メリットデメリットでお答えします」と前置きをして、利回りベースで考えたらデットの方が有利だと言います。「エクイティにはエクイティの良さもある。投資家も同じ。ただ、投資家は初期に入ってくると、家族のように思ってしまうが、そうではない。何かあったらすっといなくなる」と回答していました。
スタートアップを志す人も多く、次々に質問が投げかけられ、活気に溢れたトークイベントでした。
懇親会(MeetUp)
トーク後の懇親会(MeetUp)では、軽食やビールを片手に、参加者たちが挨拶を交わす姿が。既に起業をしている人や、起業をしたい人たちが集まっているので、名刺交換や握手など、積極的な会話が繰り広げられていました。
なかなか教えて貰えない、資金調達のアレコレ。これから起業したいけれど、資金調達をどう行ったらいいか悩んでいる人には、参考になったのではないでしょうか。
STARTUP CITY SAPPOROでは、今後も創業期の方に参考となるようなイベントを毎月開催していきますので、最新情報はホームページにて要チェックです!
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