「初学者に成功体験を」Web×IoT メイカーズチャレンジ 2019-20 in 札幌を取材してきた

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「初学者に成功体験を」Web×IoT メイカーズチャレンジ 2019-20 in 札幌を取材してきた

学生や若手エンジニアを対象としたイベント「Web×IoT メイカーズチャレンジ 2019-20 in 札幌」が2019年8月31日、9月1日、28日、29日の4日間に渡り開催されました。

IoTシステム開発のスキルアップを目的として、前半2日間でハンズオン講習、後半2日間でハッカソンを行う当イベント。キタゴエでは最終日のビットスター株式会社にて行われたハッカソンを取材してきました。

取材・撮影・構成 : 早川りょうすけ 取材日 : 2019年9月29日(日)

「Web×IoT メイカーズチャレンジ」とは?

「Web×IoT メイカーズチャレンジ」の作業風景

「Web×IoT メイカーズチャレンジ」はソフトウェアと

「Web×IoT メイカーズチャレンジ」は総務省の「IoT 機器等の電波利用システムの適正利用のための ICT 人材育成」事業として2017年から全国各地で開催されているイベントです。札幌での開催は今回で2回目

「モノのインターネット」と呼ばれる「IoT」の技術。スマホを使えば外出先からでも自宅のエアコンをつけられたり、ネコに餌をあげられたり、IoT機器は私たちの暮らしの身近になりつつあります。

そして身近になるとともにあらゆる業界でIoT開発の知識を持つエンジニアが求められ始めています。

「Web×IoT メイカーズチャレンジ」の作業風景

ハードウェアのモノづくりが体験できるイベントです

当イベントはハンズオン講習会とハッカソンの二部構成です。前半2日間のハンズオン講習ではIoTや電波、無線通信に関する基礎知識やWeb技術を用いたハードウェア制御などについての実践的な学習、そして後半に実施するハッカソンのグループ分けが行われます。

後半2日間のハッカソンでは実際にWebとIoTを使った作品を制作します。事前のハンズオン講習で学んだ知識が生かされるので初学者でもとっつきやすいでしょう。

ハッカソンと聞くと「技術や成果物を競い合う」というイメージが強いかもしれませんが、「Web×IoT メイカーズチャレンジ」は「一つの作品を完成させること」に重点を置いているとのこと。競い合いではなく「成功体験をつかんでもらうこと」を目的としたハッカソンです。

「IoTで社会問題を解決すること」がテーマのハッカソン

「Web×IoT メイカーズチャレンジ」のハッカソンの様子

イベント参加は無料。制作に必要な材料費も一定の金額まで補助されます

取材した当日はイベント最終日、午後から制作発表が控えてるだけあってどのチームも少しバタバタしている様子。なにせ2日間でアイデアを形にしていかなければいけません。制作と並行して発表の準備もするので大忙しです。限られた時間でどこまでこだわるか、どのように実現するかなど実装する機能の取捨選択が難しそうでした。

制作のテーマは「IoTで社会問題を解決すること」。難しいテーマですが、話を伺ったところ、どのチームも実用化されてもおかしくないと思えるほど素晴らしいアイデアをだしていて、そして見事に作品として完成させていました。(作品はこの後ご紹介します)

「Web×IoT メイカーズチャレンジ」のハッカソンの様子

行き詰ったり技術的にわからなかったりするときはチューターと呼ばれる技術を持ったスタッフさんに相談できます

参加者の多くは大学生や若手の社会人でしたが、年齢層は幅広く下は中学生から上は50代の方もいらっしゃいました。それぞれできる能力を共有しあい、チーム内でハードウェア(電子工作など)を作る人とソフトウェア(プログラミング)を作る人を分けるなどして効率的に作業を行っていました。

最優秀賞はどのチームの手に?

「Web×IoT メイカーズチャレンジ」の授賞式の様子

参加チームすべてに賞が授与されました

制作終了後、チームごとの発表とイベントを締めくくる表彰式が行われました。最優秀チームには2020年に東京で行われるイベントへの招待と作品展示の権利が付与されるとあって表彰式は各チームドキドキしている様子でした。

果たして最優秀賞を受賞したのはどのチームなのでしょうか?受賞した賞とあわせて各チームの作品をご紹介していきます。

Web賞:+Professional「チャリスマ!」

「Web×IoT メイカーズチャレンジ」の作品「チャリスマ!」

作品名:スマート自転車置場「チャリスマ!」

チーム「+Professiona」の作品「チャリスマ!」は駐輪場にスイッチを設置することで駐輪データを取得しスマホなどの端末から確認できるというもの。

混雑する時間帯や駐輪時間のデータを取得することで、駐輪場警備の人員の調整やパッと見ではわかりにくい放置自転車の特定に役立ちます。またTwitterと連動して登録した自転車が移動したら通知が行くようにもなっており盗難対策の機能も実装しています。

「Web×IoT メイカーズチャレンジ」の参加チーム「+Professiona」

チーム名:「+Professiona」

混雑している大学の駐輪場をみて「事前に空いている駐輪場がわかればいいのに」と思った経緯から「チャリスマ!」を制作したそうです。

1つのスイッチでいろいろな情報を取得し活用できている点を評価され、Web賞を受賞しました。

技術賞:Sunday「スマートゴミ箱」

作品名:「スマートゴミ箱」

 チーム「Sunday」の作品「スマートゴミ箱は「重量センサ」「超音波センサ」「LEDドットマトリックス」を取りつけて生ごみの残量を表示したり、生ゴミの廃棄量を集計できたりするゴミ箱です。食品ロスをテーマにした本作品はゴミの廃棄量を可視化し、使用者にゴミの減量を促すことを目的にしています

チーム名:「Sunday」

ゴミの量を重さだけでなく体積でも計れている点やハードウェアとソフトウェアの組み合わせ具合が評価され、技術賞を受賞しました。

本チームにはもともとはハッカソン自体を知らなかったという韓国人の参加者がいましたが、受賞時には「みんなで作ったりするのは楽しかった」と感想を述べていました。

IoT賞:ごった煮「SMART LIFE」

「Web×IoT メイカーズチャレンジ」の作品「SMARTLIFE」

作品名:「 SMART LIFE」

チーム「ごった煮」の作品「SMART LIFE」は農家の方向けのシステムで、農家を「home(屋内)」と「field(畑などの屋外)」に分けて、それぞれあらゆる状態をブラウザから管理・確認することができます。

例えば、「home(屋内)」では、温度調節が可能で、室温が28度以上になると扇風機が回るようになっており、自動で温度調節をしてくれます。次に「field(畑などの屋外)」では特定の範囲に動物が入ってくるとブザーがなる仕様になっており、これは害獣の撃退が期待できます。

「Web×IoT メイカーズチャレンジ」に参加したチーム名「ごった煮」

チーム名:「ごった煮」

時間や技術的な問題で実装できなかった機能も多かったようですが、さまざまな技術が詰まった「SMART LIFE」はIoTの未来を感じさせる作品ということでIoT賞を受賞しました。

アイディア賞:漆黒の聖剣「漆黒の聖剣」

「Web×IoT メイカーズチャレンジ」の作品「漆黒の聖剣」

作品名:「漆黒の聖剣」

 チーム「漆黒の聖剣」はIoTを使った寸劇を演じました。タイトルは「漆黒の聖剣」。コンセプトは夏休み最終日の児童を自殺に追い込んでしまう原因の1つであるSNSで流れるヘイト(悪口や嫌がらせ)に警鐘を鳴らすというもの。

寸劇は心無い言葉が人を傷つけることを物理的に再現するようなヘイトによって武器が変形し敵を倒すという内容でした。

IoTの技術は血しぶきを演出するために取り付けたLEDのテープがWebで操作されているところに使われていました。

「Web×IoT メイカーズチャレンジ」に参加したチーム名「漆黒の聖剣」

チーム名:「漆黒の聖剣」

「何かの課題を解決する」よりは「IoTを使っていかに人を楽しませるか」に重点を置いた本作品はその宣言通り、もっとも盛り上がりを見せた発表になりました。

寸劇で発表するというスタイルは「Web×IoT メイカーズチャレンジ」のこれまでを振り返っても珍しいとのことで、アイデア賞を受賞しました。

最優秀賞:MikuMikuLock!「MikuMikuLock!」

「Web×IoT メイカーズチャレンジ」の作品「MikuMikuLock!」

作品名:「MikuMikuLock!」

チーム「MikuMikuLock!」の作品「MikuMikuLock!」メッセージアプリの「Discord」やブラウザから自宅の鍵開閉が可能なスマートロック。開閉時には初音ミクの音声がスピーカーから流れる仕組みです。遠隔操作が可能なことに加えオートロックやセンサーによる不正解錠検知などの機能も実装されています。

「Web×IoT メイカーズチャレンジ」の作品「MikuMikuLock!」

チーム名:「MikuMikuLock!」

ソフトウェアもハードウェアも完成度が高く見事に審査員の全員一致で最優秀賞を受賞しました。

制作過程では注文した部品が動かないなどのトラブルがあったそうですが、全員ができることやってみんなの力でまとめ上げることができたと感想を述べていました。

身近になりつつあるIoTを深く知るきっかけとなるイベント

「Web×IoT メイカーズチャレンジ」のハッカソンの様子

皆さん楽しそうに作業していました

身近になりつつあるIoT。しかしその技術を学ぶきっかけはまだまだ少ないように感じます。だからこそ「Web×IoT メイカーズチャレンジ」のようなハンズオン講習で基礎的な部分から学ぶイベントは貴重だと感じます。学生や若手エンジニアが対象なのでIoTの世界を知るきっかけとしてちょうどいいと思います。IoTに興味がある方、ぜひ参加してみてはいかがでしょうか?

なお今回制作した作品は2019年10月16日~20日まで開催されるビジネスコンベンション「NoMaps」にて展示されるとのこと。実物を見てみたいという方ぜひ「NoMaps」に足を運んでみてください。

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私が書きました!

93年生まれの愛知県出身です。なんやかんやあって23歳の時に北海道の札幌に移住しました。プログラム書いたり、ブログ書いたり、WEBライターしたり。北海道のIT情報について体験したことや取材したことをわかりやすくお伝えします!

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