道東支部のこちゆうです。今やさまざまな場所で耳にするようになった「IoT」という言葉ですが、実際に自らの事業にどう生かしていけばいいのか、そもそもIoTとは何かについて疑問を抱いている方は少なくありません。
こうした声に応えるため、2月14日に釧路で開催されたのが「IoT入門セミナー in 釧路」です。
主催者である総務省の「IoT機器等の電波利用システムの適正利用のためのICT人材育成事業」の一環として開催されたもので、IoTの利活用を検討している、もしくはすでにIoT事業に関わっている企業を対象に、IoTの基礎知識や活用事例、自社で利活用するためのワークショップなどが行われました。
今回はその様子をご紹介します。
取材・撮影 : こちゆう 取材日 : 2019 年2月14日
IoTって何?その基本を学ぶ
今回の開催場所は、市街地から車で15分ほどの場所にある「釧路工業技術センター」です。
釧路工業技術センター
〒084-0905 北海道釧路市鳥取南7丁目2番23号
IoTについての関心は高いようで、3時間半という長丁場にもかかわらず20名近い方が参加。
会場にはさまざまなIoT機器が置かれており、どのようなものがあるのか参加者が休憩中に見に来る姿も多数見られました。
今事業で事務局となっているNTTラーニングシステムズ株式会社の後藤氏進行のもと、まずはIoTとは何かについてのお話がありました。
印象的だったのは「集める・蓄積する・分析する・活用する」という流れを理解すること、そして導入の考え方を押さえることが、IoTを理解するうえで大切だとお話されていたことです。
IoTというと、活用の側面だけを思い浮かべる方も多いかもしれません。しかし実は「収集から蓄積、活用までの流れ」全体がIoTであり、それを把握しておくことが必要とのこと。
またIoT導入の目的は業務改善であり、そのステージは大きく3つあるそうです。
第1段階:人がやっていたことを自動化する
第2段階:やっていなかったデータを収集する
第3段階:事業化
どの段階からはじめても良いそうですが、最も始めやすいのが第1段階とのこと。その後は商業や介護事業における導入事例などが紹介されました。
こんなところにも活用事例が!北海道内のIoT事例紹介
続いて株式会社ハイテックシステムの瀧川 憲(あきら)氏から、 IoTの技術や活用例についてのお話がありました。
水力発電所遠隔監視システムの道内シェア80%を占めるという同社では、計測・自動制御システムや電気設備、警報監視設備などのPLC以外に、IoT製品の開発や設計、施工や保守などのLPWA通信事業を行っています。
ここでは奥尻町における、磯船へのGPS搭載事例について紹介がありました。これは事業者の高齢化や後継者不足の影響による漁業衰退に歯止めをかけることを目的にした取り組みで、GPSを取り付けることにより漁師の安心・安全性を高めるとともに、限りある水産資源を管理して後世に残すことも目的にしているそうです。
こちらが実際に開発したGPSセンサー。普段は漁場のプライバシーを考慮して、それぞれの磯船の場所は共有できないようになっていますが、万一遭難した際には赤いボタンを押すことで、他の漁師に自分の居場所を知らせることができるようになっています。
将来的にはAI漁業用のビッグデータ確保などにも役立てたいそうです。
導入の際に知っておくべきIoT機器や関係法令
第2部では実際にどのようなIoT技術があるのか、また知っておくべき関連法制度などについてのお話がありました。
「IoT」と一言でいっても、活用できる技術は多岐にわたります。そのため場所や消費電力、周波数やコストについて十分に検討した上で導入する必要があるとのこと。ここでは低コスト、低消費電力で広範囲のエリアをカバーできるLPWAの紹介がありました。
LPWAはさまざまな種類があり、中には免許が必要なものもあるため、その特性を理解した上で選ぶ必要があるようです。
また電波法や技適マークについて、丁寧な解説がなされました。こうした話はIoT初心者には理解しにくいものですが、事例をもとに分かりやすく解説されていたのが印象的でした。
続いてIoTで蓄積したデータの活用やセキュリティ対策の必要性についてのお話がありました。
IoTは蓄積したデータを活用することが重要であるものの、そこまで至らない現場も数多くあるそうです。また現場によっては、すべての工程を自動化することがベストではないことも。
セキュリティ面では、収集した情報には個人情報が含まれていること、事業者はこれらを漏洩させない、不正に使用させないことが大切であることなどが注意点として挙げられました。
IoTで収集したデータは命にかかわるような、個人への影響度が高い内容が多く、意図せず自社のIoT機器が情報漏えいの踏み台にされることも少なくないそうです。
国としてもセキュリティ対策がなされていないIoT機器の調査を行うそうですが、事業者としてセキュリティを考えることは義務だと言えそうです。
活発なワークショップ その後取材を終えて
第3部ではIoTを自社で活用するためのワークショップが行われました。ここでは参加者がビジネス課題について、書ける範囲で洗い出しを行い、それをチームで共有した上で活用方法や効果を探ることに。
会場では活発な議論が交わされ、参加者には笑顔も見られました。
今回のように、IoTの基礎から活用法、関係法令などのより専門的な話を聞ける機会はなかなかありません。今回のセミナーから、釧路でよりIoTの導入や活用の機運が高まるのではと感じられる3時間半でした。
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