Local Innovation Challenge HOKKAIDO 2024 Demoday参加レポート!

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Local Innovation Challenge HOKKAIDO 2024 Demoday参加レポート!

こんにちは、キタゴエ編集長の石田です!

 

今回は、スタートアップと道内自治体・事業者の協業の成果が一挙に披露されたイベント、
Local Innovation Challenge HOKKAIDO 2024 Demoday」に参加してきました!

当日の雰囲気や登壇企業の取り組みを、さっそくレポートしていきたいと思います!

 

「Local Innovation Challenge HOKKAIDO」とは?

北海道を舞台に、自治体や事業者とスタートアップがタッグを組み、地方や行政が抱える課題解決を目指すオープンイノベーションプロジェクトです。

主な目的としては、

  1. スタートアップの事業成長促進
  2. 自治体や事業者の課題解消を通じたイノベーション創出
  3. 道内へのスタートアップ誘致とエコシステムの発展

が掲げられています。

今回の「Demoday」では、2024年度に採択された11社のスタートアップが登壇し、実証実験の成果をトークセッション形式で報告。どの企業も、地域課題に真正面から向き合いながら革新的なサービスを展開しており、北海道ならではの魅力を存分に感じるイベントとなりました。

 

 

セッション①「スマートに泥臭く!スタートアップが挑む自治体DX」

このセッションでは、主に自治体と協力し、DXを推進するための実証を進めてきた3社が登壇しました。登壇企業は、株式会社はんぽさき、エアロセンス株式会社、株式会社Staywayの3社です。各企業がどのような取り組みを行ってきたのかご紹介します。

左から、はんぽさき小林さん、エアロセンス嶋田さん、Stayway紙本さん

株式会社はんぽさき

テーマ:共有地図LivMapによる林業のDX

株式会社はんぽさきは、地理情報の管理・共有化にまつわる社会課題を解決する企業です。

現場を広範囲にカバーしなければならない職種(林業や土木など)にとって、地図の取り回しや情報管理が煩雑化しがちで、リアルタイムの連絡や共有も難しいという課題があります。そこで彼らが開発したのが、共有地図「LivMap」です。

汎用性とコストパフォーマンスが強み

LivMapは、さまざまな種類のGIS情報や地図データをそのまま取り込めるうえ、導入コストが低いのが特長。地図の管理を一元化することで、紙や電話、FAXなどバラバラのツールを使う手間を減らし、現場での効率化を図ります。道路管理システムや消防システム、災害対応などにも応用が期待できます。

浦幌町での林業DXに挑戦

はんぽさき社では、2025年4月より、浦幌町や地域の林業事業者、北海道庁と協力し、林業の現場DXに挑戦していくとのこと。従来は紙ベースの管理や電話・FAXでのやり取りが中心でしたが、LivMapを活用することで、チーム内の情報共有や作業状況の把握が容易になるのではと期待されています。こうした取り組みは、北海道内の他の自治体や業種にもどんどん広がっていきそうですね!

 
 

エアロセンス株式会社

テーマ:国産eVTOLを活用した自治体業務DX

ドローンメーカーとしてさまざまな機体を展開しているエアロセンス株式会社。今回は、垂直離着陸可能な固定翼ドローン「エアロボウイング」を中心にご紹介いただきました。

ヘリコプターのようにどこからでも離着陸ができて、飛行機のように高速かつ長距離を飛行できるのが特徴とのこと。最大で50kmほど飛行できるため、人の立ち入りが難しい場所や危険を伴う地域でも計測・点検が可能になります。

ヘリやセスナからの置き換えでコスト削減も

従来、ヘリコプターやセスナで行っていたような広域の計測や点検を、VTOLドローンで置き換えることでコストを大幅に下げられるのが大きな魅力です。自治体が持つ危機管理課、土木管理課、河川管理課など、複数の課で共同活用すれば投資効果を高められるとのことです。

 

北海道鶴居村役場での実証実験

今回の実証実験では、鶴居村役場にて建設課や産業振興課、教育委員会など、各部署が抱える課題を解決する目的でドローン活用の実証実験を行ったそうです。

実証結果

1.道路点検データの活用:道路や河川、水道施設の状況把握が可能、パトロール業務を代替できる

2.鹿の頭数把握:鹿の頭数把握は難易度が高いものの、囲いの中に何頭いるかの把握はできそう

3.グリーンカーボンクレジットデータとしての活用:赤外線センサーやライダーセンサーを使い、高精度のデータ収集が可能。森林伐採率のモニタリングや材積の推定にも有効。

4.キラコタン岬の植生調査:植生状況の把握は可能で、伐採の目安を立てることができる。

など、幅広い使い方が期待されています。現状、高速道路のモニタリングの自動化を進めており、道路の学習データをさらに集めたいとのことです。「協力いただける自治体があればぜひお声がけください!」と呼びかけられていました。

 

株式会社Stayway

テーマ:「補助金クラウド for Gov.」による自治体向け補助金DX

もともとオンライン旅行事業を手がけていたStayway社。コロナ禍で事業の在り方を再考する中、実際に補助金を活用してみたところ、その申請・運用が想像以上に大変だったそうです。「この課題を何とかしたい」という想いから、補助金DXへと舵を切り、現在は金融機関・士業・メーカー・リース会社などを対象に「補助金クラウド」を提供中。多種多様な補助金情報を集約し、申請作業の効率化をサポートしています。

「補助金クラウド」で申請作業が“10分”に短縮!?

補助金申請には、3つの大きな課題があります。

1.どの補助金が使えるのかが分からない
補助金クラウドは全国の補助金を網羅的にデータベース化。事業者に合わせた候補を簡単に検索・選択できるようにしています。

2.申請手続きが煩雑で、書類作成に時間がかかる
 生成AIを活用して、通常20時間かかる申請書を最短10分ほどで作成。さらに、補助金の専門家によるサポートも利用できるため、ミスや不備を大幅に減らせるのが特長です。

3.補助金が後払いで、資金繰りが難しい
 補助金を先払いに変えられる仕組みも整備。自己資金や融資がなくても活用しやすいよう、資金繰りのハードルを下げる取り組みを進めています。

Stayway社はこれらの課題を解消し、すべての事業者が補助金を使いやすい環境を整備しています。また、行政目線では、業務効率化により職員の負担や属人化している作業を減らし、職員の労働環境改善や休務者を減らすことが出来るのも大きなメリットです。

 

自治体との連携にも注力

・広島県のDX簡易診断ツール
企業の情報や悩みを入力すると、課題を言語化し、解決策や補助金情報を提示してくれるDX簡易診断ツールを広島県が運営中。Stayway社は最新の補助金データを提供する第三者機関として連携しています。

・札幌市役所との取り組み
2026年1月からオンライン申請システムの活用や審査工程の自動化に向けた実証実験を札幌市役所と連携し実施予定。行政の業務負担を軽減し、より迅速な補助金支援を可能にする見込みです。

 

補助金をもっと“使える”存在に

Stayway社の取り組みは、金融機関での融資提案効率化企業が自社製品に補助金を活用して価格競争力を高めるなど、幅広いシーンでの活用が期待されています。「補助金クラウド」を通じて、必要な人が必要なときに、気軽に補助金を使えるようになる未来を目指しているのが印象的でした。

 

セッション②「地域に広がるスタートアップとの共創 -苫小牧・石狩の事例から-」

このセッションでは、石狩・苫小牧市を舞台に、地元の事業者と協力し、地域課題や環境問題への解決策を提示する4社が登壇しました。

左から、エゾウィン大野さん、SOINN長谷川さん、トクティー田中さん、ピリカ朝緑さん

登壇企業は、エゾウィン株式会社、SOINN株式会社、トクティー株式会社、株式会社ピリカです。各企業がどのような取り組みを行ってきたのかご紹介します!

 

エゾウィン株式会社

テーマ:超高精度GPSロガーによるごみ処理業務の効率化

エゾウィン社は「完全自動化農場を北海道から立ち上げ、日本の食を支える」というビジョンのもと、農業分野で作業の見える化を進めるため、超高精度GPSロガー「レポサク」を開発したそうです。

当初は農業の状況をリアルタイムで把握し、データ収集を通じて作業効率をアップさせる狙いでしたが、今回の実証ではごみ処理業務に応用することで、さらなる可能性を示しています。

誤差わずか12cmのGPSロガーで“現場の動き”を正確に把握

一般的なスマホのGPSは誤差1~2m(場所によっては5~10m)ほどあるのに対し、エゾウィンが開発したロガーは誤差12cmと高精度。このロガーに電源を入れて車に置くだけで、自動的に走行ルートを記録・アップロードしてくれるのが特徴です。

ごみ収集ルートの最適化や事故リスク低減にも

今回の実証実験では、ゴミ収集車両にレポサクを搭載することで、作業者が「どのようなルートを通って、この取集スポットにはどういったアプローチをしているのか?」といった実態を把握に挑戦。データを基に最適な行動を判断していくことで、作業効率の向上や事故リスクの低減が期待できるとのことです。また、リアルタイムの位置情報と走行記録を共有すれば、わざわざ電話や書類で報告をする手間も削減できるとのこと。

農業から始まった高精度GPSロガーが、ごみ処理業務をはじめ、さまざまな領域でDXを推進するツールとして成長していく様子がとても興味深かったです。

 

SOINN株式会社

テーマ:AI による⽯狩データセンター空調の最適制御

SOINN株式会社は、コンパクトかつ高機能なAIソリューションを提供する企業です。今回の実証実験では、さくらインターネットの石狩データセンターに省エネAI「E-1」を導入し、空調を最適化する取り組みを行いました。

空調をエリア別に学習し、全体バランスを最適化

冬場の例を挙げると、入口付近から流れ込む冷たい外気室内の暖かい空気をそれぞれの空調機が異なるAIモデルで学習。入口付近は重点的に暖房し、室内は控えめにするなど、細かくエリアを分けて制御します。こうすることで、余分なエネルギーを抑えながら快適な室温を保つ仕組みが構築できるとのことです。

 

E-1の特長:小さな計算パワーで大規模空調を管理

・東京ビッグサイトで平均40%の省エネ実績
すでに東京ビッグサイトで導入されており、膨大な数の空調を個別にコントロールすることで約40%ものエネルギー削減に成功。

・CPU一台で300台の空調を学習・制御
CPU一台分の計算リソースで数百台もの空調を個別に学習・最適化することが可能。東京ビッグサイトのように「データを社外に出せない」というセキュリティ要件があっても、クラウドでの演算を使用せずに運用できるのが大きな強みです。

・大規模建築全般に応用可:商業ビル、工場、オフィス、学校だけでなく、病院など、温度管理が厳しい場所でも導入可能。現場の状況に合わせた柔軟な制御で省エネを実現します。

 

石狩データセンターでの実証と今後の可能性

今回、寒冷地である石狩市のデータセンターにE-1を導入し、室内の温度差を半減しながら省エネを目指す取り組みを進行中。今後はさまざまな施設への展開も視野に入れており、より幅広い現場での利用が期待できそうです。

 

トクティー株式会社

テーマ:特定技能人材の雇用・定着促進のための課題把握と改善策の実行に向けたイベントの実施

トクティー株式会社は、外国人材の採用や特定技能人材の受け入れを支援している企業です。今回の実証では、2025年2月12日に苫小牧市でセミナーを開催し、特定技能人材の採用受け入れについて解説するセミナーを実施しました。

苫小牧市では外国人材の数が徐々に増加している一方、「採用ノウハウが分からない」「言葉の壁や文化の違いが不安」といった声が市役所に寄せられていました。そこでトクティー社と札幌出入国在留管理局による、特定技能人材の採用受け入れについてのセミナーを実施。30社以上が参加し、うち3社は個別商談まで進んだとのことです。

 

元々市からは採用ノウハウについて説明するセミナーをして欲しいという要望をいただいていたが、過去の経験から、外国人の受け入れが進まない要因は、言語や文化に対する漠然とした不安にあるのではと考えたそう。そこで、根室の漁船で活躍する外国人の方をオンラインでゲストに迎え、“現場の声”を直接聞くことで、不安の解消を図り、活発な意見交換が行われたとのことです。

全国の事例や現場の声を生かして

今後、同様のセミナーを希望する自治体は増えていくと予想されます。

トクティー社はもともと全国に顧客を抱えているため、これまでの実績から各地の事例や現場の声を集めるのも得意分野。人材不足が深刻化する中、特定技能の活用をより身近に感じられるサポート役として、さらなる活躍が期待されます。

 

株式会社ピリカ

テーマ:車両とごみ検知AIを組み合わせたポイ捨て・不法投棄ごみ問題の解決

ピリカ社は、アイヌ語で「きれい」を意味する言葉を社名に掲げ、ゴミ問題の解決に取り組む企業です。ごみ拾いSNS「ピリカ」は既に世界130か国で利用され、ゴミの自然海流出問題など、さまざまな環境課題に対して取り組んでいます。

「タカノメ」でごみを可視化! 車両×AIの実証実験

ゴミの自然海流出は問題視されていますが、数値化し定量的に計測することは現状出来ていません。そこで今回注目されたのが、車両搭載型のAIカメラシステム「タカノメです。

地図上でゴミの分布を可視化

車にタカノメを置いて走行することで、動画をAIがリアルタイムで解析。映像に映るゴミを自動認識し、走行ルートと紐づけて地図上で“見える化”します。

「不法投棄が多い場所」や「河川沿いでゴミが堆積しやすいエリア」を正確に把握できるため、効率的に清掃計画を立てることが出来ます。また、観光地のイメージ向上や環境保全にも効果が期待され、すでに旭川市などではごみ処理業者やタクシー会社と連携し、実態把握に活用されているそうです。

苫小牧での取り組み:ゼロごみを目指して

苫小牧市では、ごみ収集や清掃事業を担う山本浄化工業(株)などと連携し、2025年4月から本格的に調査をスタート。得られたデータをもとに地元の企業と連携しゴミ拾いを行う予定とのことです。苫小牧での事例が成功すれば、北海道内各地や全国にも広がり、街と自然をきれいに保つ取り組みがさらに加速しそうですね!

 

セッション③「農業×テクノロジー×発信力!北海道での新たな試み」

このセッションでは、農業をテーマに、農業×テクノロジー×発信力を掛け合わせた新たな取り組みが紹介されました。

左から、SORA Technology石戸さん、EASY STUDIO網谷さん、REACT中村さん、ビビットガーデン田中さん

現在、農業従事者は約116万人と言われていますが、今後20年で約30万人まで減少するといわれており、従来の手法だけでは持続可能な食糧供給を維持できない懸念が強まっています。

そこで求められるのが、優れた技術や発想を持つスタートアップとの連携です。革新的なソリューションを、どのように現場に普及させていくか、そのマッチングが、今まさに注目されています。登壇企業は、SORA Technology株式会社株式会社EasyREACT株式会社株式会社ビビットガーデンの4社です。

SORA Technology株式会社

テーマ:ドローンを用いた水田における中干し期間の証明

SORA Technologyは「空から人の生き方に改革を」というビジョンを掲げ、日本をはじめガーナやフランスなど、多国籍なメンバーが集まる企業です。もともとはドローンとAIを用いたマラリア対策(Larval Source Management)に力を入れており、ドローンによる空撮で蚊の発生源となる水たまりをAIで検知・薬剤散布することでマラリアを予防する研究開発を進めてきました。

アフリカの事例を“日本の農業”へ応用

「アフリカで培ったドローン×AI技術を日本でも活かせないか?」という問いから、今回の実証では、水田における“中干し期間”の証明に挑戦。

  • 中干しとは:稲作の一部期間、水を抜いて土壌を乾かす工程のこと。生育管理の観点で重要な役割を果たし、メタンガス削減効果もあります。これによりカーボンクレジットの発行が可能なのですが、申請の際に「いつどれだけ中干しを行ったか」を証明する必要があります。

従来の課題と今回の実証

今回は岩見沢市でドローン空撮を行い、水田の状況を把握するための実証実験を行いました。

従来は、計測を行う企業の担当者が水田を直接訪問し、地上から写真撮影して証明資料を作成。農家の負担が大きく、審査プロセスも不透明になりがちでした。

今回の岩見沢市での実証では、ドローン空撮による画像解析を活用することで、信頼性の高い証明データを取得。農家の負担が大幅に減るとともに、客観的・定量的なエビデンスに基づいた申請が可能になりました。

実証実験でのポイント

1.マルチロータードローン

可視光カメラマルチスペクトルカメラを併用し、水田の状態をより正確に把握。稲の生育状況や水の有無を定量的に判断できます。

2.固定翼ドローン

・広範囲を短時間で撮影できるため、作業効率が向上。

・岩見沢市のような広大な農地でもスムーズにデータ取得ができる。

今後の可能性

メタンガス削減効果の証明など、カーボンクレジットの活用が期待される稲作現場では、ドローンによる客観的データ収集が今後ますます注目されそうです。SORA Technology社のグローバル視点と高度なテクノロジーを組み合わせたソリューションは、道内に限らず全国の農家や農業関連事業者に新たな選択肢をもたらしてくれるかもしれませんね!

 

株式会社Easy

テーマ:Fortniteを活用した札幌農業体験メタバース

株式会社Easyは、人気ゲーム「Fortnite」のプラットフォームを活用し、メタバース空間を開発・提供している企業です。コンシューマー向けゲームの開発だけでなく、企業や自治体向けの「Fortniteメタバース」制作も手がけ、制作からプロモーションまで一貫したサポートを行っています。

「Fortniteメタバース」とは?

Fortniteは全世界で幅広いユーザーを持つバトルロイヤルゲームですが、独自のクリエイティブモードによってオリジナルのゲーム空間を自由に構築できます。Easyでは、このプラットフォームを活用して“新しい広告・PRの場”を創り出し、インバウンドや若年層へ自然な形で情報発信できる仕組みを提供しています。

 

実証実験:札幌農業体験メタバース

実証実験では、札幌市農政課とタッグを組み、札幌の農業を広める農業シミュレーションゲームをFortnite上で開発しました。

札幌の観光スポットをゲーム内に再現し、伝統野菜や乳製品の生産体験スープカレー店の開業など、食や農業の魅力をゲームを通して学ぶことが可能になっています。

実際のゲームの様子は↓から見ることが出来ます!

【Fortniteで札幌農業の魅力発信】EASY STUDIOと札幌市が農場経営ゲーム「FARM TYCOON by SAPPORO」をリリース!

実証結果

  1. インプレッション数 126万回
  2. プレイ回数 2,000回
  3. 総プレイ時間 6万分以上

Fortnite内で多くのユーザーの目に触れ、札幌農業への関心を高めることに成功したとのことです。

メタバース×地域PRの可能性

Easyが手がけるFortniteメタバースは、若者や海外プレイヤーへの訴求力が高く、自然な広告体験を実現できるのが強み。今回のように自治体と連携して地域の魅力を発信することで、認知度アップ、イメージ向上、インバウンド需要の促進などの効果が期待できます。今後、ほかの地域や企業でも、こうしたメタバース空間を使ったPRがますます注目されるかもしれません。ぜひ一度プレイして、その世界観を体感してみてはいかがでしょうか?

 

REACT株式会社

テーマ:施設園芸農業(トマト、ブドウ等)の省力化・省人化の実証試験

REACT株式会社は、宇都宮大学発のベンチャー企業としてロボットや自動搬送機械の開発を手がけています。同社では施設園芸農業(ハウス栽培のトマトやブドウなど)に焦点を当てたロボットを開発しており、北海道の大規模農業で省力化・省人化が期待できます

鷹栖町のトマト農家で実証実験

今回の実証では、鷹栖町のトマト農家の協力を得て、ハウス内での自動搬送や自動散布の可能性を検証。ハウスの幅に対してやや大きめの設計だったものの、ビニールハウス内の狭い通路でも活用できるよう工夫がされており、試験を通じて生産者にロボット活用の具体的なイメージを持ってもらえたとのことです。

今後の可能性

施設園芸は天候の影響を受けにくい一方、人の手で搬送や散布を行うため、担い手不足が深刻な課題。今回のように、自動走行で農薬や肥料の散布を行ったり、人追従で作業者をサポートしたりできるロボットがあれば、大幅な労働力削減が期待されます。今後はロボット技術を用いて農業に貢献したいと考えているとのことです。

 

株式会社ビビッドガーデン

ビビッドガーデンは、生産者と消費者を直接つなぐECプラットフォーム「食べチョク」を運営している企業です。生産者が1万軒、ユーザーが100万人を超える規模に成長し、“生産者から直接”商品が届く仕組みが大きな特徴となっています。

 十勝の新顔作物にスポットを当て、テストマーケティングへ

今回の実証実験は、北海道・十勝において、新たに誕生した「新顔作物」のテストマーケティングを中心に進められる予定です。

近年、気候変動の影響などで取れる作物の種類が変わっており、それらの「新顔作物」の中には、これから新たにブランディングをしないといけない作物がたくさん存在しているという現状があります。

そこで、今回の実証実験では新顔作物を消費者へダイレクトにアプローチし、生産者のブランディングや戦略立案に役立てることを狙いとしています。

「食べチョク」の強みと伴走型コンサルティング

食べチョクの強みは直送ECのモデルであること。生産者が自分で出品し、消費者は1次産業の現場と直につながって購入できるため、作り手のこだわりやストーリーを伝えやすい特徴があります。また、食べチョクには多様な食材やユーザーのビッグデータが集まっており、その分析から消費者ニーズを的確につかむことが可能。生産者の課題をヒアリングしつつ、ビビッドガーデン自身がコンサルティングも行い、販路拡大や新たなブランディングをサポートすることが期待できます。

これら実証を通じて、地域全体として「食べチョク」のプラットフォームを活用し、認知拡大やデータ分析による戦略の立案を行うモデルを築いていく見込みとのことです。

北海道農業の新しい可能性に向けて

北海道の一次産業は大規模生産と安定出荷のイメージが強い反面、農業経営費の高騰や所得の減少、気候変動など、多くの課題に直面しています。実証実験の成果が生産者と消費者、双方にメリットをもたらすかどうか、今後の展開に大きな期待が寄せられています。

 

まとめ

今年度のLocal Innovation Challenge HOKKAIDOでは、自治体DXから農業の省力化、ゴミ問題の解決やメタバース活用など、多彩な取り組みが紹介されました。共通するのは、テクノロジーと現場の“泥臭い”対話を重ね、実際に使える解決策へと落とし込んでいる点です。

セッション後のネットワーキングでは「うちの地域でも試したい」「次はここで実証しよう」など、具体的な協業の話が活発に交わされていました。

ネットワーキングの様子

北海道は広大なフィールドと多様な地域課題を抱えるからこそ、新たなチャンスが無限に広がっています。今後も、このプログラムを通じてスタートアップの事業成長と地域の課題解決が同時に進み、道内のスタートアップエコシステム全体がさらに盛り上がることを期待したいですね!

 


イベント情報

  • イベント名:Local Innovation Challenge HOKKAIDO 2024 Demoday
  • 日時:2025年3月4日(火) 13:30~19:30
  • 場所:エア・ウォーターの森(札幌市中央区北8条西13丁目28-21)
  • 主催:STARTUP HOKKAIDO

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私が書きました!

ビットスター株式会社の石田です。大学時代はUFO研究会副会長としてUFOを探すことに4年間を費やしました。

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