北海道のITに会いに行こう!

北海道4社「シベリアのシリコンバレー」を行く【前編】

ノボシビルスクでの北海道IT企業プレゼンテーション
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北海道のIT企業4社が11月中旬、今注目を集めつつあるロシアのIT業界との交流に出かけました。行き先はロシア中部、札幌市の姉妹都市でもあるノボシビルスク市(以下ノボシ市)です。
取材・構成・撮影 : 吉村慎司

頭脳都市ノボシビルスク

ノボシビルスク? 聞き慣れない地名でイメージがわかないかもしれませんが、ロシア中部・シベリア地方の中心都市で、人口約160万人とロシア国内3位の大都市です。理数系の大学や研究機関が集まっていることもあって優秀なエンジニア人材が多く、市内には軽く500社を超えるIT企業があると言われます。

人呼んで「シベリアのシリコンバレー」。近年ロシアは国を挙げてデジタル産業の育成に取り組んでいますが、ノボシはその重要拠点のひとつというわけです。
地図:ノボシビルスク市の位置

ノボシビルスク市内(同市公式サイトから)

ノボシビルスク市内(同市公式サイトから)

ノボシが札幌の姉妹都市になったのはソ連時代末期の1990年です。それから音楽や書道、武道、華道、着物といった文化交流が長く続いてきましたが、なぜか経済や産業の分野ではほとんど接点がありませんでした。そんな中、ITビジネスの観点からこの街に目を付け、交流を始めようと今回渡航したのが北海道IT推進協会に加盟する次の4社です。

イークラフトマン (新山将督社長)
メディア・マジック (里見英樹社長)
サンコー (髙奥淳BPO事業部長)
ハイテックシステム (酒井裕司専務)

ここに道銀地域総合研究所、経済産業省北海道経済産業局、札幌市などの代表者が加わり、総勢11名の訪問団となりました。ツアーは北海道経済産業局が企画したもので、経済産業省の外郭団体、貿易研修センターの資金支援を受けています。

ユーラシアの真ん中へ

ノボシが位置するのは北海道から約4000km離れた、ユーラシア大陸の真ん中です。今のところ北海道からの直行フライトはなく、韓国や中国、またロシアのサハリンなどを経由するルートが一般的です。

日本との時差は2時間。日本の正午がノボシでは午前10時にあたります。一行は11月12日夕方に新千歳空港を出発し、中継地の韓国・仁川で1泊して、翌13日午後にノボシ入りしました。

実質的な現地初日となる14日、いきなりメーンイベントがやって来ます。技術系スタートアップ企業のインキュベーション施設「テクノパーク」の最上階ホールにて、北海道―ノボシのIT企業プレゼンテーション会が開かれました。

Novosibirsk Technopark

テクノパーク外観(2017年夏)

テクノパーク外観(写真は2017年夏撮影)

進行役を道銀地域総合研究所の清水友康地域戦略研究部長が務め、イベント前半の北海道側プレゼンテーションがスタート。まずは経済産業局の佐々木孝情報・サービス政策課長補佐が道内IT産業の概況、地域における位置づけなどについて解説し、続いて札幌市の瓦本一大IT・クリエイティブ産業担当課長が、札幌の魅力や市のIT振興策について説明しました。

佐々木北海道経済産業局情報・サービス政策課長補佐

佐々木北海道経済産業局情報・サービス政策課長補佐

瓦本札幌市IT・クリエイティブ産業担当課長

瓦本札幌市IT・クリエイティブ産業担当課長

いよいよ企業プレゼンテーションです。トップバッターは、今回が2度目のノボシ訪問となる新山イークラフトマン社長です。

イークラフトマンは、主に道内スーパーや卸売業など流通分野の業務システム構築を手がけています。とりわけ企業間のデータのやりとりを円滑にする仕組みを得意としており、新山社長は英語スライドを使って自社のビジネスを説明しました。

プレゼンする新山イークラフトマン社長

新山イークラフトマン社長

その上で、「今回はコールセンター業務に役立つシステムを見つけて帰りたい。また、輸出入に関わる文書の作成支援、その集計システムなどをつくれる企業と知り合いたい。弊社のシステムをレベルアップしてくれるような企業があればぜひ話をしましょう」と呼びかけると、会場から拍手が起こりました。

2社目はゲームなどモバイルアプリを開発するメディア・マジックの里見社長です。冒頭でエヴァンゲリオンのキャラクターを見せて若いロシア人の目を惹きつけ、「私たちはこんなアニメのコンテンツを使ったアプリケーションを開発しています。今後ロシア市場、また世界市場で、開発を一緒にできる企業を探しています」とアピール。このほかスマートフォンを使った路線バスの位置情報サービスなど、いくつかの事業の柱を紹介しました。

プレゼンする里見メディア・マジック社長

里見メディア・マジック社長

3番目に登場したサンコーは、すでにベトナムに事業拠点を構えるなど海外展開の実績を持ちます。ベトナム子会社の社長を兼務する髙奥淳部長が「当社はBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)、いわゆるデータ処理を中心とする会社です」と説明。

プレゼンする髙奥サンコーBPO部長

髙奥サンコーBPO部長

そして「BPOではまだまだ人の力も必要ですが、今後日本は人材不足になるため、ロシアと仕事をすることも考えたい」と期待を示しました。さらに、ロシア・日本・ベトナムの3拠点が連携してソフト開発をするアイデアも披露しました。

締めはハイテックシステムの酒井専務です。まず自社の標語「ハカル、ウゴカス、トトノエル」を解説した上で、メーン業務として北海道電力の水力発電所のシステムをつくっていることなどを話しました。

プレゼンする酒井ハイテックシステム専務

酒井ハイテックシステム専務

ハイテックシステムは水力発電所で培った制御技術を、近年は農業や漁業にも応用しています。さらに、それぞれの計測データをクラウドに上げるサービスなども始めたところです。「いろいろな技術を持っているのが弊社の特徴。新たにノボシビルスクとの仕事を見つけに来ました」と意欲を語りました。

<ロシア企業はどんなプレゼンテーションをするのか? 後編をお楽しみに>

この記事を書いた人

吉村慎司
吉村慎司ライター
ビジネスの取材が好きなフリーライター。第二種情報処理技術者(現在の「基本情報技術者」)。1971年鳥取市出身、2010年から札幌市在住。今までに住んだことがあるのは大阪、京都、奈良、東京、ウラジオストク(ロシア)。取材ノートを電子化したくていろいろなペン入力端末を試しています。
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