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【連載】<第一回目>ホワイトデータセンター事業について美唄市に行ってきた!

(写真)美唄市経済部経済振興課 土屋さん
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現在、北海道では少子高齢化に伴い札幌市以外での急速な過疎化が進んでいます。そこでキタゴエでは、「人口流出をなんとか止めたい!」と雇用や産業を生み出す取り組みを行っている美唄市について特集をいたします。

このような取り組みをキタゴエでご紹介することで、「地域の活性化に繋げ北海道を元気にしたい!」そんな想いから今回の特集をみなさまにお伝えいたします。

第一回目は、雪冷熱を利用した「ホワイトデータセンター構想」についてです。
今回は、美唄市 経済部 経済振興課の土屋さんにお話を伺いました。

ホワイトデータセンターとは何か?
巨大な電力を必要とする「データセンター」の冷房に、「冷涼な外気」と「雪冷熱」を利用するデータセンターのことです。

(写真)美唄市役所

Q、ホワイトデータセンター構想のはじまりと概要について教えてください。

(写真)美唄市経済部経済振興課 土屋さん

土屋:美唄自然エネルギー研究会が、雪冷熱エネルギー研究の第一人者である室蘭工業大学の媚山政良教授を中心に、初めてホワイトデータセンター構想を唱えたのは2008年です。その後2009年~2011年日本で初めてサーバを雪で冷やす実証が行われました。

ホワイトデータセンターでは雪冷熱エネルギーによりサーバ冷却費用を低減し、ランニングコストの削減を可能とします。

またサーバの廃熱を農業施設などで再利用することで、データセンターを中心とした熱の事業ネットワークと新たな産業クラスターを創出するなど、地域から歓迎されるデータセンターを目指しています。

(図) ホワイトデータセンター事業計画の概要

Q、美唄市はどのような考えのもと、積極的に取り組み始めたのでしょうか?

土屋:データセンターは、美唄自然エネルギー研究会が20年にわたり研究開発を行って来た雪エネルギーの活用に適した施設であり、自治体が行っている道路除排雪の利用も可能と考えたことが、美唄市がホワイトデータセンター構想に取り組み始めた理由です。

2010年から積極的にプロモーション活動を始め、翌年2011年5月東京での展示会にて発表を行いました。そして2014年からNEDOの委託を受けて実証試験を行っており、実証施設には2017年3月時点で日本国内、国外から86団体573名の方が視察にいらっしゃっています。

東京の企業さんからは、「夏に雪の確保ができるのか?」「雪が少ない年の冬でも何十万トンの雪の確保が出来るのか?」「温暖化で雪が降らなくなったらどうするのか?」など、めったに雪が降らない地域では想像が付きにくい部分についての質問をされることが多いです。
そのため、実際に実証施設を稼働させて、外気と雪のみでサーバが冷却できることを証明しています。
視察に来られた方には、夏場に雪冷房が稼働しているところやPUE数値が低いところなどに評価をいただいています。

PUEとは何か?
データセンターなどのIT関連施設のエネルギー効率を表す指標の一つで、施設の全消費電力をIT機器の消費電力で割ったものです。

データセンターでの電力では、サーバの電力以外に、二番目に多く使われているのが空調だと言われています。
ひと昔前のデータセンターだと、全体の電力の約44%は空調だといわれ、いわゆるサーバ電力の二倍近くの数値となります。一般的な指標としてPUEが1.5~2.0くらいだとすると、美唄市は冬場で1.02、夏場でも雪冷房の利用で1.08と国内でもトップクラスの省エネデータセンターの実証が行われています。

美唄市経済部経済振興課 土屋さん

Q、サーバの廃熱や雪冷熱を利用して、どのようなことができますか?

土屋:実証施設では、サーバ排熱を利用して、ビニールハウスで野菜の栽培や陸上養殖でアワビを育てています。
アワビの水槽では、年間を通して水温を約15℃に保ち、1つの水槽に1500匹、3つで4500匹のアワビを養殖しています。

隣接地で稼働しているホワイト・ラボという施設では、雪で食品を保存したり雪の低温乾燥で加工品を作っていますが、こちらもホワイトデータセンター構想の取り組みと連携しています。また、市内では、お米や農産物の貯蔵施設、福祉施設や温泉施設など、12ヵ所で雪冷房施設が稼働しています。

ホワイト・ラボとは?

美唄市のそらち団地に雪貯蔵庫や加工施設を備える利雪食品加工研究施設。
1年を通して一定の温度を保つ雪冷熱貯蔵による熟成や、長期間の鮮度保持、雪を利用した低温乾燥加工などにより、糖度の上昇、旨味の増加また鮮度保持による出荷時期の調節などをめざし、実践的な研究開発をおこなっています。
さらに雪を利用した乾燥技術の応用により、保存食品の研究開発にも取り組んでいます。

美唄市の雪冷熱エネルギー活用施設は下記になります。

<農業利用施設導入事例>
美唄市農業協同組合<利雪型予冷庫>
美唄市農業協同組合<米穀零温貯蔵施設「雪蔵工房」>
美唄市農業協同組合<ハイブリット氷室「雪蔵美人」>
有限会社貞広農場<玄米貯蔵コンテナ冷水循環保冷装置>

<生活居住空間導入事例>
(有)永桶<賃貸マンション「ウエストパレス」>
(有)中川空調<事務所兼個人住宅雪冷房実験し絶>
社会福祉法人 渓仁会<介護老人保健福祉「コミュニティホーム美唄」>
社会福祉法人 恵和会<老人福祉施設ケアハウス・ハーモニー>
美唄市<美唄市交流拠点施設 ピパの湯 ゆ~りん館>
一般社団法人北海道スノーフード研究会<利雪食品加工研究施設「ホワイト・ラボ」>

Q、データセンター事業以外の分野もいろいろあるように感じますが。

土屋:そうですね、電力を使わずに北海道で一年中農業を営むことができることや、陸上養殖での生産では水産事業者、雪を集める事業者、熱供給事業者、そこに従事する雇用など広い視野をもって、「ホワイトデータセンター構想」と言えます。

現在、課題となっていることはほとんどありません。 実証試験などを通じて、準備の方は万端といったところですので、こうした取り組みに興味を持っていただける企業さんをお待ちしているところです。

全国のデータセンターを保有されている事業者様、美唄市にデータセンターを作りませんか!!

今回雪を利用した自然エネルギーでできることが、さまざまな事業に結びつくことを知りました。最も驚いたのは、冷却費用のランニングコストを大幅に削減できることや、廃熱を利用してビニールハウスでの野菜の栽培や陸上養殖ができるということです。

例えば養殖で定量数ができれば、不漁のときにも困らないで済みます。最近はナマコが捕れないとよく耳にしますが、ここで養殖をするのはどうか・・・など、養殖できそうなものをいろいろと考えてしまいました。このホワイトデータセンターとともに、美唄市が活性化していくことを願っています!

次回は日本で唯一の民間雪冷房専門設計・コンサルティング会社の株式会社雪屋媚山商店様を取材いたします。
お楽しみに!!!

この記事を書いた人

中村真紀
中村真紀
ビットスター株式会社 キタゴエ運営会社 
企画・編集担当 中村真紀です。キタゴエをたくさんの方に見ていただけるように、企画を行ってまいります。取材記事のご依頼お待ちしています!
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