道東支部のこちゆうです。今回は2019年8月31日(土)と9月1日(日)に、釧路工業技術センターで行われた「道東×IoT・クラウドハッカソン2019!令和元年秋の陣~地域交通を考えよう~」の2日目の様子と、同率1位となった2つのチームのプレゼンについてご紹介します。
前編はこちら
取材・撮影 : こちゆう 取材日: 2019年8月31日(土)・9月1日(日)
プレゼンタイムまで残りわずか!最終ハッカソンタイム
2日目は朝9時からスタート。まずはウイングアーク1st株式会社のMotionBoardの使い方について、端的にまとめられた講座があり、各チームがそれぞれ内容や活用法について学ぶ姿が見られました。
その後は14時からの発表に向けてのハッカソンタイムに突入。1日目の和やかな雰囲気から一変、どのチームも真剣な表情で最終の追い込み段階へと入りました。
同率1位となったプレゼン内容をご紹介!
2日目のメインイベントであるプレゼンタイムがいよいよスタート。今回は6チームがそれぞれの開発内容やその思いについて熱く語り、それぞれ素晴らしい内容が発表されました。
その結果、なんと2つのチームが同率1位に!数々のハッカソンに参加されている八子 知礼氏も「珍しい」というハイレベルな結果に。
今回は同率1位となった2つのチームの発表内容についてご紹介します。
持ち時間で行ける観光地&バス停の停留状況をカンタンに把握
チーム「ミンナメガネ」が開発したのは、「観光地に行く」「その場で楽しむ」「ホテルなど次の目的地に戻る(または自宅に帰る)」という、観光客だけでなく地元民の公共交通の利用もサポートしてくれる仕組みです。
ホテルの夕食やチェックイン、フライトの関係などで、観光客がその土地で楽しめる時間は限られています。しかし、その間にどれだけの観光を楽しめるのかを調べるのは意外と大変なものです。
釧路の場合、運転免許証を持っていない方が利用できる交通手段は自然とバスやタクシーとなります。しかし、特に前者の場合、バスの発車時刻に間に合わないと、ホテルなどその日の最終目的地までたどり着けずに困ってしまうことも。
そこで「ミンナメガネ」ではGoogleマイビジネスの情報を活用。各施設の営業時間や、訪れた人の行動履歴といった情報を元に、簡単な操作で限られた時間内に回れる観光地、そして交通手段を自動で提案してくれるシステム「とりっぷ946」を開発しました。
またバスの運行については、SONYが新たに開発した通信規格「ELTRES」をバスに搭載して位置情報を確保。その情報をもとに、目的のバスがどこにいるのか、もしくはすでに出発してしまったのかが分かる仕組みを開発することに成功。「クラウド型インテリジェンスダンボール」という仮想マシンを使い、プレゼン中に実演も行われました。
バスの課題を一挙に解決!スマホのない人も利用できる便利サービス
チーム「バススタート」ではバスの発着問題だけでなく、乗り過ごしや遅延対策にも着目。バス停に取り付けたデジタルサイネージやICタグ、そしてスマホにダウンロードできるアプリを使い、観光客や地元の方の移動ストレスを軽減する仕組みを開発しました。
スマホを持っている場合、アプリに目的地をセットすれば、最寄りのバス停の案内とルートを調べることが可能に。さらにバスとバス停の位置情報を活用し、乗りたいバスが近づくと、バイブなどで知らせてくれる機能も搭載しているため、ギリギリまでショッピングや観光を楽しめるという仕組みになっています。
またスマホを持っていない人のために、同様の機能をバス停にも搭載。デジタルサイネージから目的地へのルートが確認できる他、音声や地図による検索も可能としています。
更にバス停にICタグを取り付けることで、スマホや交通系ICカードなどによるキャッシュレス決済も可能にしています。降車時に運賃を支払う際のもたつきをなくし、スムーズな乗降を実現。乗客はもちろん、バス会社も遅延を減らせるため、メリットの大きい仕組みとなっています。
その他、バス停には押すだけでタクシーが呼べるボタンも取り付けられており、万一目的のバスに乗れなかった場合でも、目的地まで移動できるようフォローされています。
バス停システムはウイングアーク1st株式会社のMotionBoardと連携させることで、乗車した時間や場所がグラフ化されるようになっています。情報はkintoneに蓄積し、オープンデータ化することで、バスのマーケティングやタクシーの利用予測への利用も想定しているそうです。
他にも、飲食店にボタンひとつでタクシーが呼べる仕組みや、お店がバス停代わりになるものなど、さまざまな発表がありました。
最終結果と各審査員からの総評
ハイレベルなプレゼンばかりだった今回の大会。最終結果はどのチームも僅差となりました。最終結果はご覧のとおりです。
惜しくも入賞を逃したチームも含めて、いずれも素晴らしいアイデアばかり。各審査員を唸らせるハッカソンとなったようです。
ここからは、審査員5名それぞれの講評の一部をご紹介します。
ハイレベルな戦いを実感(室蘭市役所 経済部 丸田 之人氏)
「過去いろいろなハッカソンの審査員を担当させてもらいましたが、こんなに接戦だった大会は今までありませんでした。特に収益まで考えるというのは、他のハッカソンではあまりないことなので、とても感心しています。
また今回の発表内容が実装に向けて検討されるということも、他の地域ではあまりないので、釧路は恵まれた場所だと感じました」
実現性のあるプレゼン内容に(株式会社ジョイゾー 四宮靖隆氏)
「過去の釧路のハッカソンでは、毎回審査員をやらせてもらっていますが、今回ほど順位を付けるのが難しかった回はありませんでした。
回を重ねるところに実現性のあるアイデアが増えてきているなと感じているので、本当に実装ベースに入ってきていることを実感する回でした」
社会実装を目的に継続的に前へ(株式会社ウフル 八子 知礼氏)
「環境が充実しているので、最初からアイデア勝負だと思っていました。釧路は日本で8番目に大きな市町村ということもあり、広域にもかかわらず乗り物がないということを感じ取っていただけたのではないかと思います。
実行委員や審査員からは、今回こそ社会実装につなげたいという強い思いを感じ取っていたので、入賞を逃したチームもぜひ釧路市に売り込んでもらえれば。やって終わりではなく、どこまで実現できるのかという目線で継続的に捉えてもらえれば」
生まれたアイデアを地域で実装(釧路ITクラスター推進協会 中島 秀幸氏)
「第1回目から一貫して観光をテーマに取り組んでいただいている中で、私の思いとしては、今回観光の二次交通、そして地域住民の交通の足という部分で課題があると感じていました。
釧路は地方都市であり、人口減少が続いている地域ですから、黙っているとただ不便になっていくだけです。そんな中で、今回は地元だけでなく地方からもきていただいて、しかもこれだけ接戦になるようなアイデアを考えてもらってうれしい限りです。
地元の私たちの責任としては、いただいたアイデアをどう地域に生かしていくかを考えていきたいと思います」
得るものが多いハッカソンに(釧路市役所 産業推進室 板垣達也氏)
「釧路市は地方都市としてさまざまな課題を抱えています。今回はさまざまな視点でアイデアがあり、非常に得るものが多かったハッカソンだったと、改めて感じた回でした。みなさんにとってもそうであってもらえれば」
取材を終えて
最後に、主催者の一人である四宮 琴絵氏から今回の振り返りと次回に向けてのコメントがありました。
「今回プレーヤーとして参加して、改めてその大変さを実感したところです。毎回プレゼンのクオリティがすごく上がっていると感じていて、僅かな時間でデモまで実装できることが本当にすごいと同時に、釧路市で実装できそうなアイデアがかなり出てきたとも感じています」
次回開催は未定ですが、継続して行く予定とのこと。1年以内には開催したいということですが、構想の中には温泉地でのハッカソンも想定されているとか。
回を重ねるごとにハイレベルな内容となっている「道東×IoT・クラウドハッカソン」。次回の開催が待ち遠しいですね。
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