2018年11月2日にジャスマックプラザにて開催されたKita-Tech 2018に行ってきました。
本記事では株式会社ノースグリッドとネットスター株式会社の発表の様子をお届けします。
AI秘書 (株式会社ノースグリッド)
トップバッターを務めるのは、株式会社ノースグリッドの丸本翼さんです。今回は、AIを使った留守番電話の緊急性の判別に関する発表です。
なんと嬉しいことに、来年のゴールデンウィークは5月1日に新天皇即位の日が予定されており、前後も祝日となることで10連休。
しかし、もしゴールデンウィークのはじめにハードディスクが壊れた、ソフトが動かないなどの事態がおきたとき、サポートに電話を掛けても電話に出てくれないという事態になったら大変です。
そこで休日も電話対応するため、電話番を置くことになりますが、全部が全部緊急の場合じゃないこともざらにあります。そんな非効率を解消するため、今回急ぎの電話かどうかを判別してくれるAI秘書を作ることに。
仕組みの説明です。相手から電話が来たらまずAI秘書が応答します。電話の音声を認識し文字にしてくれます。
文字に起こしたら、あらかじめまとめている緊急性のあるワードとその他のワードからTensorFlowを使ったディープラーニングによって、内容が急ぎか急ぎでないかを判定します。
急ぎであると判定したら、担当者に連絡がいき、どの番号に折り返せばいいか知らせてくれます。
最後にデモンストレーションも披露。実際に電話をかけると、自動音声につながります。「緊急事態です。すぐに電話ください。」と言うと、AI秘書が「ご対応ありがとうございました。折り返し連絡差し上げますので、お待ちいただけますと幸いです。」と応答。
コンソールに音声の文字起こしと、緊急性を判定結果が表示されました。今回は急ぎなのでtrueとしっかり判定。
するとAI秘書から担当者へ、「先ほど、090-〇〇〇〇-〇〇〇〇より急ぎの電話がありました。折り返しお願いします」と電話が来ました。
質疑応答では、「どんなAPIを使って組み上げたのか」など細かい技術についての質問や、「緊急性はどれくらい正確に判定できるのか」といった精度について質問があがりました。
制作を担当した岩崎さんは、「電話の受発信は、Asterisk(アスタリスク)というオープンソースのIP-PBXソフトウェアを使用しました」と回答。楽天コミュニケーションズのIP電話サービスで提供されている番号を紐づけることで、受信発信を実現しています。
また、精度について丸本さんは「至急という言葉が、”ひきゅう”に変換されたりとまだ精度は低いです」と答えた上で、音声認識と急ぎ判定の精度を上げていくことを今後の課題として述べ発表を終えました。
弱いAIを強いAIらしく見せる、たったひとつの冴えたやりかた (ネットスター株式会社)
ネットスター株式会社の渋谷一将さんからは、弱いAIを強いAIに見せる取り組みの発表です。
弱いAIとは、自意識の無いAIのこと。例えば、ハンディキャップなしで初めてプロ棋士に勝利した囲碁AI「AlphaGo」も盤面上の状況に応じて学習したものを選択するだけで、AlphaGo自体が考えているわけではありません。
それに対して、強いAIは「ドラえもん」などアニメの世界やSF映画に登場するAIのような自意識をもつAIを指します。
そこで渋谷さん自ら強いAIに見せる取り組みを実施。まず弱いAIとしてチャットボットを作成。
こちらからの入力に答えているだけで、強いAIには見えません。
ここからわかる強いAIに見せる要素として、状況を把握し教えてくれて、その返答から何かを実行してくれるという、二つの動きができることを上げました。
そこでチャットボットに状況を把握し教えてくれる機能をつけたものとして、室内温度に反応してエアコンをつけるか聞いてくれる、その返答によってエアコンをつけてくれるチャットボットを作成。
このように連絡と実施をしてくれるとAIが自意識を持っているように見えます。
今後の展望として、「音声入力を用いることでより会話らしくなり強いAIに見えるようにしていきたい」と述べ発表を終えました。
質疑応答では、「もしエアコンをつけなくていいよと言ったら強いAIはどう反応するのですか?」という質問が。
渋谷さんは「今回は作ってないんですが」と前置きした上で、「例えば、『それでは帰る前になったら連絡してください』と言ってくれたり、GPSの情報を拾って、自宅の近くまで来たら、『エアコンもう一回つけますか?』と連絡してくれるようなことができるのでは」と回答し、弱いAIの可能性を伝えました。
続きは次回
本記事では株式会社ノースグリッド「AI秘書」と、ネットスター株式会社の「弱いAIを強いAIらしく見せる、たったひとつの冴えたやりかた」の発表をお届けしました。どちらの発表もAIをテーマにしており、会場の技術者たちにとっても刺激のある内容となっていました。
キタゴエでは白熱したKita-Techの記事をさらにお届けしますので、次回の更新も楽しみにお待ちください。
うまい棒管理くん / 飛べ!ドローン! -Amazon echoによるドローン制御- Kita-Tech2018レポート
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