2018年11月2日(金)、ジャスマックプラザで開催された「Kita-Tech 2018」(キタテック2018)に行って取材をしてきました!
一年に一度開催される「Kita-Tech 2018」は、北海道のIT企業が集結し、与えられたテーマに沿って技術を発表する交流会です。
以下では、株式会社インフィニットループと株式会社リリーの発表をお伝えしていきます!
AIで家電価格予測 (株式会社インフィニットループ)
株式会社インフィニットループは、「欲しいものをオトクに」というコンセプトで「AI家電価格予測アプリ」を発表してくれました。
たとえばパソコン周辺機器は、どうしても高額な買い物になってしまいがちです。個人はもちろん、会社で購入する機会もなにかと多いので、やはり値段は気にならずにはいられません。
そんなとき頼りになるのは、あの有名な比較サイト「カカクコム」。しかし発表者たちは、カカクコムにはない独自のサービスをAIによって実現しようと考えました。
それは「なにを買うか どこで買うか いつ買うか」をユーザーに提供する試みでした。アプリの名は「イツカウ」。
鳥の「トキ」をモチーフにしたユニークなキャラクターがユーザーに「買い時」を教えてくれるという仕様になっています。
タマゴに籠った状態は、もう少し値下がりを待った方がいいことを意味しています。デザインはとても親しみやすく、非情に実用性を重視していることがわかります。
基本的にカカクコムは「口コミ」がベースになっています。一方で「イツカウ」は、AIにより「価格の予測」と「買い時」を可視します。難易度が高いと言われていた技術でしたが、プロジェクトチームは果敢に挑戦し、実用レベルにまで洗練させることができました。
今回、「イツカウ」の価格予測商品はモニターです。しかし開発当初の価格予測の精度は、けっして高くはありませんでした。価格予測と実際の値段とでは、じつに1万円以上のひらきがあったといいます。それに対しプロジェクトチームは、「アンサンブル学習」を駆使しながら、AIの予測が現実の価格を追従できるように試行錯誤。
直感とデータの違いを冷静に分析し、価格下落の特徴を掴み、定義を変えてみたりなどもしたそうです。そして最終的には、誤差率が10%を下回り、極端な価格の下落までをも精確に予測できるようになりました。
ピンポイントで価格予測を行う「イツカウ」の精度には、Kita-tech2018の参加者も驚きました。
発表者たちは、このアプリの収益化を図りつつ、さらなる予測精度の改善は当然のこと、今後はパソコン周辺機器だけでなく他の商品にまで価格予測の対象にしていきたいと語っていました。
グルメアプリに画像判別機能を提案導入した話 (株式会社リリー)
株式会社リリーは「南からの刺客」としてKita-tech2018にやってきた鹿児島の企業です。
今回は、AIを応用してグルメアプリに「画像判別機能」の導入を試みました。
一般的に、シェア機能をもつグルメアプリなどは、撮影した画像のカテゴライズやタグ付けをユーザーが手動で行われます。
それに対し、もしもAIが画像判断して自動的にカテゴライズできれば便利なのではないかというのが発表者たちの開発コンセプトです。
つまり、ユーザーが「パスタの写真」を撮るとAIがそれを「パスタ」と認識してくれる。プロジェクトチームは、そんなアプリ機能の実装に挑戦したのでした。
しかしいざ開発を進めてみると、当初は「トンカツ」の画像を「カラアゲ」と認識してしまうほどの精度しかありませんでした。AIによる画像の自動判別は苦労の連続でした。
地道に学習訓練を繰り返して精度を高めていこうとするも、なかなか成果があがらず、プロダクトへ組み込むにはまだまだ不十分。そこで開発者たちは、AIの「過学習」が起きているのではないかと仮説をたて、パラメータが多すぎて複雑化したモデルを以前よりもシンプルにし、認識させる画像のバリエーションを増やしてみると、期待していた通り、次第に正答率が上がり始めました。
次の課題は画像を判断するまでにかかる時間。当初は2.5秒を要し、時間がかかりすぎました。画像の縮小化を図って速度を高めようとしますが、いまひとつ効果が見込めず。
そこで、ディープラーニングを行える「TensorFlow Lite」というオープンソースライブラリを活用してみると、Androidでは0.4秒、iPhoneでは0.2秒にまで画像判別時間を縮めることに成功しました。
現在、画像の自動識別の精度は70~75%。当初はさまざまな食べ物を「カツドン」と判別してしまっていたAIも、開発者がトライ&エラーを積み重ね、いよいよ実用的な段階へと向かいつつあるようです。もちろん、まだまだ過学習の疑いがあり、改善の余地が残されているとのこと。パスタとラーメンを区別できないのは、おそらくそのためだと発表者は言います。しかし、もしもラーメンのような日本のローカルフードを正確に識別できるようになれば、かなり独自性のあるユニークなアプリになりそうです。
おわりに
本記事では株式会社インフィニットループの「AIで家電価格予測」と株式会社リリーの「グルメアプリに画像判別機能を提案導入した話」をお届けしました!
「学習」を経て精度を高めていくAIは、ときにわたしたちの予想をこえた結果をもたらすようです。AIの可能性はまだまだ未知数。AIをどんなことに役立てられるのか、いっそう夢がふくらみますね。
キタゴエでは白熱したKita-Techの記事をさらにお届けしますので、次回の更新も楽しみにお待ちください!
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