脱広告によるWEB戦略~ダイエットカフェ運営者に聞く~【後編】

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脱広告によるWEB戦略~ダイエットカフェ運営者に聞く~【後編】

今や性別問わず気になるのがダイエット。

札幌に拠点があり、日本最大級のダイエット商品の口コミサイト「ダイエットカフェ」は、ユーザーに焦点を当てることで、その人に合うダイエット方法が見つかるのではと考え、企業との癒着が一切ないサイトを運営されています。 

前編ではダイエットカフェの運営について、責任者の福田さんに伺いました。今回の後編では、口コミを集める方法やGoogle Adsenceの戦略について教えて頂きました! 

取材・撮影・構成:高橋アメリ 取材日: 2019年7月16日(火)

前編はこちら

脱広告によるWEB戦略~ダイエットカフェ運営者に聞く~【前編】

サクラなし! 純粋な口コミを集める方法

ダイエットカフェ福田さん

――口コミはどうやって集めたのですか?

2008年8月にオープンして、4か月で800件、2年目には14,000件と順調に増えていきました。何もせずに……と言いたいところですが(笑)、インセンティブを用意したんです。

 

――インセンティブとはなんですか?

やる気を引き出すための刺激ですね。はじめは口コミ投稿の際にアマゾンギフト券500円を渡したのですが、それでも集まった口コミは1週間に1件。1か月経っても4件……これって口コミサイトとして成り立ってないですよね。

 

そこで、ユーザーはダイエットの詳しい情報や知識を求めているのではないかと思い、ダイエットの本を読みこんでまとめた「ダイエット11の神話」という読み物(PDF)を配布することにしました。

 

そうしたところ、1週間で1投稿だったのが1日1投稿に。7倍に増えました(笑)そこからは雪だるま式にどんどん増えていきました。

 

ですが5~6年経った頃、PDFの効果が減ってきてしまったんです。一度投稿した人が、もう一度投稿する動機がないことが原因と考え、投稿後ランキングが見えるように、とインセンティブを変えました。

 

――効果はどうでしたか?

読み物の時と比べて3倍に! 皆ランキングが気になるんだなと思いましたね。

 

――そもそも、ダイエットカフェのサイト自体を知ってもらうために何かされたことはありますか?

検索エンジン対策です。商品名で検索したら、その公式サイトよりもうちのサイトが上がってくることもあって。

なので、テレビで紹介されたあと、ユーザーが検索した時にうちのサイトが上がってきて口コミが良くなかった……なんてこともありましたね(笑)

 

ただ今は、検索エンジン自体が厳しくなってきているので、別な方法を色々と模索しています。

 

――ステマなどは排除できているのでしょうか?

これまでの経験とノウハウからステマと思われる人の書き込みはすぐにわかります。詳しい方法は企業秘密ですが、ほぼほぼ排除できていると考えます。

 

Google Adsenceを使った戦略について

ダイエットの闇

――ダイエットカフェには純広告や企業との癒着が一切なく、Google Adsenceだけで運営されていると伺いました。下世話な話ですが、それだけで儲かっているのでしょうか?

Google Adsenceだけなので、アクセス数に比例します。それでもやっていけているのは経費がかかっていないから。社員も雇っていないですし、事務所もないので。

 

――おひとりで運営されているんですね!

普段は口コミチェックが主なので、ネットさえあればどこでも仕事できます。たまに公園のベンチでパソコン広げてますよ(笑)

社員は雇わず、突発的に出てくる仕事や、強化した方がよさそうな機能が出てきたときなど、必要な時に欲しい人材をクラウドソーシングしています。

 

そもそも小さい会社なのでいい人に来てもらうのも大変で。外注であればいきなり結構なレベルな人にお願いできるのもメリットですね。

 

――今どきな働き方を実践されているのですね。ところで、Adsence広告はどのあたりに貼っているのでしょうか?

口コミ4個目

パソコン版のサイト

口コミ4個目と10個目の下に一つずつ貼っています。

スマホ版 広告

スマホ版の表示

スマホ版だとレコメンドの部分と、最後の関連の部分にもあります。

スマホ版 関連広告

スマホ版にはレコメンドの部分にも表示される

 

関連広告

※いずれも、表示されている広告はデモとなります

 

――この位置は、何か意図されているのでしょうか?

まず、ファーストビューに置いてしまうと、「企業と繋がっているんだな」という印象を受けてしまうので避けました。

 

そして、うちのサイトに来る人はダイエット商品に頼ってダイエットしようとしている人が多いなと感じています。

そもそも、ダイエットをする人って、普通に運動して痩せたいか、食事制限をする人、商品に頼りたいという人の3パターンに分かれます。

 

うちのサイトは大体が「この商品どうなんだろう」って見に行って、口コミを見てテンションが下がっていくところで広告が出てくるのでついクリックしてしまうんです。

――“ついクリックしてしまう”導線の設計が、成功のカギとなりそうです!

 

サイト運営は「理念と方針」次第

ダイエットカフェ福田さん

――これまで10年以上サイトを運営してきて、「サイト運営の極意」みたいなものはありますか?

正直、うちのサイトは儲かりやすい業態ではないです。

ダイエットで一番儲かるのは、アフィリエイトをいれて悪い評価を消せば短期的にはもうかるでしょう。

 

――そう分かっていながらも、今の形を取っているのはなぜでしょうか?

ダイエット業界を健全化したいという理念があるからです。ダイエット業界って単純に怪しいので、よくない商品は悪い口コミによって消えればいいし、いい商品は単純にいい口コミが集まってもっと売れたらいい。それが付き詰まっていけば、業界も健全化されていくのではないでしょうか。

 

一時期はアフィリエイト入れていた時期もあったんですよ。

でも、うちのサイト経由では売れないんですよね。ボコボコに書かれた口コミを見て買う人はさすがにいない(笑)。なので、撤去しました。

うちのサイトは理念を通そうとしたら、結局Google Adsenceに落ち着きました。

 

――ダイエットカフェには福田さんの人となりが表れているような気がしました。

確かに、運営者の性格は出ますね。僕は真実とか本質とか、あるべき姿とかそういうのが好きなんです。ユーザーを助けたいとか言った方が綺麗なんでしょうけど、「このサイトの役割はなんだろうな」って突き詰めていったのが今のダイエットカフェの形になっていきました。

――理念と方針を突き詰めていくことが大切になりますね。ありがとうございました!

 

編集後記

企業との癒着を一切せず、Google Adsenceで収益を得ているサイト「ダイエットカフェ」について、運営の福田さんにインタビューさせていただきました。

 

これまでのダイエット業界にあった、企業が短期的に収益を得るモデルとは真逆で、長期的に継続することで専門性が高まり、「ダイエットのことならダイエットカフェだよね」とユーザーに言ってもらえるような、信頼性のあるサイトの運営に成功されています

 

理念をしっかりと持ち、真っすぐにサイトを運営されている姿勢は、サイト運営のみならずビジネス全般に置き換えても大切だと感じました。

(高橋アメリ)

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合同会社EVOLbyAmeri代表。こちらではコワーキングスペースの取材やITイベントを担当。他の媒体では観光系や女性向けライフスタイルなどで執筆しています。

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