起業のプロセスを週末3日間でゼロから体験できる国際プログラム「スタートアップウイークエンド(SW)」が10月21~23日、札幌市中央区の「es village すすきの村」で開かれました。
札幌での開催は今回が8回目。新型コロナ禍による休止期間を経て、3年ぶりの復活です!
週末3日間、計54時間にわたるプログラムを通して、参加者たちはどのように「スタートアップスキル」を磨いたのでしょうか。密着取材しました。
💡 What’s Startup Weekend? 💡
SWは、アメリカのコロラド州で2007年に始まった「スタートアップ体験プログラム」です。
金曜午後から日曜夜まで約54時間かけて開催され、参加者は週末の3日間だけでスタートアップの立ち上げをリアルに体験できます。
これまで150を超える国々で7,000回以上行われ、約45,000のスタートアップを輩出してきました。
プログラムは大きく4つのパートに分かれます。
- 全参加者がビジネスアイデアを発表(持ち時間1分)
- 自分のアイデアに賛同する仲間たちとチーム結成
- ビジネスアイデアの検証と起業家によるコーチング
- チーム対抗のピッチコンテスト
これまで数々のユニークなアイデアが生まれてきたStartup Weekend。今回はどうだったのでしょうか?!
※ピッチ=事業計画のプレゼンテーション
📢 Day 1 / Oct.21
金曜夜19:00、参加者が勢ぞろいしました。
集まった顔ぶれは、高校・大学世代のティーネイジャーから第一線で働くビジネスマンやエンジニアら計17人。
会場の「es village すすきの村」は、すすきの交差点を真下に望むビルの9階にあるコミュニティスペース。バーも併設する若者に人気のスポットです。おしゃれな空間にテンションが上がります!
🍖 交流会 & First facilitation 🍖
プログラム進行を務めたのは岩城良和さん(茨城県つくば市在住)。全国各地のStartup Weekendを巡り、ファシリテーターとしてスタートアップのノウハウを伝えています。
「食べて飲み、飲んで食べてがStartup Weekendの始まりですよ!」。岩城さんの明るい掛け声で、週末3日間のプログラムは交流会からスタート。
お肉を挟んだピタパンにチーズたっぷりのピザ。美味しい食事にソフトドリンクやビールも飲んで、すっかりリラックス。参加者同士も会話も弾んで、距離がぐっと近づきます。
「ピッチコンテストの優勝者には50000円分の食事券が贈られます」。スポンサー企業からの豪華賞品発表に、会場から歓声が沸き上がります。参加賞は最高級イタリアンレザーのコースター。こちらもオシャレです!
岩城さんが、Startup Weekendの歴史や広がりについて説明してくれました。150を超える世界の国々で、7,000回以上も開催された伝統あるプログラム。現在戦争状態にあるウクライナの首都キエフやロシアの首都モスクワでも、過去行われてきました。
「世界中のさまざまな課題を解決できるのは、ここにいらっしゃる皆さん自身。その皆さんをエンカレッジすることがStartup Weekendのミッションです」。起業の志とは、課題解決の志。 平和や幸せを願う気持ちと似ているのかもしれません。
岩城さんの言葉が熱を帯びてゆきます。
🍞 Half Baked 🍞
プログラムは、ここから少しずつアクセルを踏んでいきます。起業アイデアを考えるトレーニング「Half Baked」の始まりです。参加者同士のアイスブレイクも兼ねて、チームを組んで行います。
ルールはシンプル。チームごとにランダムな単語を2つ選び、それらを掛け合わせてビジネスアイデアを「でっち上げ」ます。
具体的には、次の3つを考えます。
- サービスの特徴(タグライン)
- 企業名
- 企業ロゴ
制限時間は15分。 各チームが制限時間1分のピッチでアイデアを発表します。
岩城流のHalf Bakedは、選んだ2つの単語を自チームでなく隣のチームに渡すシャッフルシステム。あるチームのお題は「さんま × 自転車」に決まりました 。ゲーム性が高まり、議論も白熱してきます。もはやビジネス大喜利の様相!?
1分ピッチが始まりました。こちらのチームのお題は「唐揚げ × タクシー」!
そこで考えた企業名は「タクツー」。朝食に唐揚げを食べながらタクシー通勤できるというサービスなのだそう。「朝はギリギリまで寝てOK!通勤中に朝食できます」「タクツーは日本の会社員を朝から元気にします!」
本当にそんなサービスがあればいいのにな、と思わせるようなお見事なピッチでした。参加者の皆さん、Half Bakedで頭の体操もバッチリ完了です!
📍 1分ピッチ 📍
いよいよ本番です。Half Bakedでの練習を踏まえ、今度は自身のビジネスアイデアを持ち時間1分のプレゼンテーション「1分ピッチ」にぶつけます。
発表されたアイデアは投票で半分ほどに絞られ、勝ち残った発表者が自分のアイデアに賛同する仲間を集めてチーム作りに挑みます。
こちらが1分ピッチのフォーマット。盛り込むべき内容は3つです。
- 自分が解決したい問題
- どのような方法で解決するか
- どんなチームメイトを求めているか
17人の参加者による「1分ピッチ」が始まりました。
「腐りそうな食べ物をセンサーで感知して教えてくれる冷蔵庫」
スーパーで何気なく買った野菜や果物を使わず腐らせた経験、誰しも一度や二度あるものです。そうした「あるある」な課題にフォーカスした冷蔵庫。便利な気がします!
「スタートアップのプロダクトの口コミサービス」
創業間もないスタートアップにとって、口コミは莫大な広告費をかけずとも商品を宣伝できる重要なツールになります。その口コミ自体を提供するサービス。斬新です!
参加者全員による1分ピッチが終わり、17のアイデアがボードに並びました。参加者それぞれの人生経験から導き出された「あったらいいな!」の思いが、多彩な起業アイデアとなりました。投票タイムでは、お気に入りのアイデアに付箋を貼り付けていきます。
果たして誰のアイデアが残るのでしょうか。
投票の結果、アイデアは8つに絞られました。
発表者が一列に並び、あらためて自分のアイデアをアピールします。 賛同してくれる仲間は見つかるのでしょうか。いよいよ運命の分かれ道、チームビルディングです。自分のアイデアが残らなかった参加者も、誰に相乗りするか決める必要があります。
💪 チームビルディング 💪
「ウチのチームにおいで!」。 チームビルディングは賑やかな「争奪戦」になりました。チーム結成の条件は、仲間を3人以上集めること。それ以下なら次のステップには進めません。争奪戦が進むうち、当初2人だったチームが他チームを吸収合併する姿も見られました。まるでM&Aのよう!?
そうして誕生したのは次の4チームです!
チーム「北ブチ」。「北海道からブチ上げる」をコンセプトに、起業家を目指す大学生や若者らが集まりました。首都圏で学生の起業熱が高まる一方、地方ではまだまだ関心が低いことに着目し、北海道の学生向け起業プラットフォーム創設を目指します。
チーム「オタルニア」。「職業適性がわかる大人版のキッザニアをつくりたい」。そんなアイデアを発表した職業訓練校の教員と、「まちづくりSNS」設立を目指す小樽の大学生らがチームを組みました。2つのアイデアを掛け合わせて「小樽に大人版キッザニアをつくる」ことを目指します。
チーム「アサノシバ」。NFTのアートやアイコンをガチャガチャで発行するユニークなアイデアを考えたエンジニアと、その世界観を支持する仲間で結成しました。「景気が上向かない日本を、サブカルという世界に誇る強みを生かして、お金を稼げる国にします!NFTでそれをやります!」。熱量あふれるチームです。
チーム「令和維新」。世の中にあふれている、ちょっとイケてないチラシや広告のデザインを添削するサブスクビジネスを考えました。 メンバーは現役で活躍するグラフィックデザイナーら。「デザインの力で世直ししたい」との思いを込めて、チーム名を「令和維新」としました。
Startup Weekendを運営するオーガナイザーや、2日目のコーチングを担当する起業家たち。各チームを見つめる目が、少しずつ本気度を増していきます。
誕生したばかりの4チームに、岩城ファシリテーターは言いました。「初期のアイデアは大事ではありません。顧客のもとを訪ね、行動するたびに変わるからです」「大事なのはアイデアではなく、チームです」
21:45。1日目が終わりました。にぎやかさを増す金曜深夜のすすきの。過去には、そのまま飲みに出たチームもあったそうです。今年はどうだったのでしょう。4チームの戦いが始まりました。
▼▼▼ 2日目へ続く ▼▼▼
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