「LINEがやりづらいことをやりたい」エコモットとBULBが提携した理由【後編】

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「LINEがやりづらいことをやりたい」エコモットとBULBが提携した理由【後編】

エコモット株式会社、BULB株式会社インタビュー後編。前編ではエコモット株式会社 代表取締役 入澤拓也さん、BULB株式会社 CEO 阿部友暁さんの両代表者に登場していただき、初めての出会いと印象、提携の打診、提携の理由をお聞きしました。

後編ではどこに事業領域を拡大していくのか?「LINEがやりづらいことをやりたい」「法律が整備されていないところをやりたい」という話から、以前阿部さんが運営されていた「ねとらじ」から、今後の展望までお伺いしました。

(写真左) エコモット株式会社 代表取締役 入澤拓也さん (写真右)BULB株式会社 CEO 阿部友暁さん(以下はエコモット、BULBと表記)
(写真左) エコモット株式会社 代表取締役 入澤拓也さん (写真右)BULB株式会社 CEO 阿部友暁さん(以下はエコモット、BULBと表記)

インタビュー・取材・構成 : 赤沼俊幸 撮影 : 早川諒亮 取材日: 2019年7月1日(月)

新たな事業領域はBtoC・BtoBtoC・XTech

今回のリリースに記載があった「新たな事業領域拡大」。どのような事業領域を拡大していくのでしょうか。

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入澤さん
エコモットには大きく分けて、ロードヒーティング、建設現場、車の三つの事業があります。ただこの先は「第四、第五の自社事業を作って行かなければならない」という話をよくしています。

僕らはドBtoBなんですよ。BtoC、あるいはBtoBtoCをもう少しやっていきたい。BtoBの世界でエコモットは知名度はありますが、せっかく上場し、社会的な信用が得られるなら、BtoB以外の世界でも勝負していきたい。

例えば今、BULBが手掛けているシェアリングエコノミーやオーダーシステムなどですね。

本取材では本記事に掲載している以外にも、多くの案が出ました。

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赤沼
多くの案が出ました。具体的に決まっている案はありますか?
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入澤さん
今はフラット。新しい可能性を調べたり、阿部さんと議論を重ねています。決まっているのはXTech(クロステック)的な考え。

今からゼロイチで新しい事業を作るのはどうしても時間がかかる。既存の事業を進めている方々と一緒に新しいことをやり、その業界の中で横展開ができるサービスがやれたらいいと考えています。

例えば、どのような業界にアタックしていくのでしょうか。

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入澤さん
例えば、私がよく接している二代目、三代目の経営者はいろんな悩みがある。「なんでITじゃないの?」という場面もある。そこに単なる受託ではないプラットフォームサービスを活用したデジタルトランスフォーメーションを支援したい。

サツドラさんが一番いい例ですよ。代表の富山さんがITに長けていますよね。あのように売り場を変えていきたい。

例えば、宿泊業。とあるホテルではIT化に遅れ、マンパワーで乗り切る仕事している。ここに業務効率化ができる仕組みを入れ、後に他のホテルや組合にも広まっていく。というような試行錯誤と横展開をやっていきたいですね。
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阿部さん
XTechはここ数年、BULBがやってきた領域。飲食や不動産、住宅のXTechをやり、業界の課題が見えています。課題解決を含めて、上手くパッケージにし、別の業界に転用する。地場でジリ貧になっているような企業、行き詰まりに直面している企業にインプットして、後にその業界を横串にする流れが作れればいいですね。

理想的には北海道発でやりたい。その後、別の地方に応用していく。最初の成功事例を作る舞台を北海道としたい。

LINEがやりづらいことをやりたい

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入澤さん
特にLINEがやりづらいことをやりたい。大きい市場はLINEのプラットフォームでできてしまう。僕らはすごいニッチな所に行きたい。
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阿部さん
LINE がやりづらいところ、いっぱいありますよ。エコモット本体では難しいかもしれませんが、BULBはまだ、ギリギリを狙える立場。

捨てるものがない。そういう役割分担はできると思っています。「やっちゃえば?」という空気を作っていきたいですね。それが僕らのような会社の役割だと思うんですよ。

法律が整備されていないところをやりたい

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阿部さん
民泊がいい例ですが、法律が整備されていないところをやりたいと思っているんですよね。
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赤沼
阿部さんが運営されていた「ねとらじ」もそうですよね。

ねとらじは阿部さんが個人で立ち上げたインターネットラジオサービス。(前編にも記載したとおり、阿部さんはライブドア社に売却。現在はFC2社が運営)

今はYouTube Live、ニコニコ生放送、ツイキャスなどのストリーミングサービスの充実により、個人の生放送サービスは当たり前に提供されていますが、もちろん当時にそれらのサービスはなく、Ustreamもありません。ねとらじは画期的でした。

私はねとらじをユーザーとして、聴いた体験もあります。ねとらじはユーザーが気軽に生放送ができる最初のインターネットラジオサービスだったと私は認識しています。阿部さんは日本におけるストリーミングサービスのパイオニアともいえるでしょう。

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阿部さん
そうです。いろんなことがあったんですよ。特に大きいのは音楽著作権。アメリカではSoundExchangeというネット専用の音楽著作権処理団体みたいなのができた時でした。日本版はどうするのかの議論がありました。しかし、二十年経っても未だにまだその仕組がないんですよ。

ラジオには音楽BGMが必要不可欠。一般的なラジオ局はJASRACと包括契約を結び、JASRAC登録楽曲であれば、自由にBGMとして利用可能です。しかし当時は、インターネットラジオにそのようなルールはありませんでした。

ねとらじはJASRACとの契約をしておらず、そもそもそういうインターネットのルールが整備がされていない時代。しかし、ねとらじでも通常のラジオ番組のように楽曲をBGMとして使う配信者が多くいたことでしょう。多くの違反者に対して、どのように対応したのでしょうか。

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阿部さん
だけど、無理やり乗り越えました。どうやったかというと、全部を人力監視したんですよ。自分の携帯番号を晒して「いつでも変な番組があったら、この携帯電話に通報してくれ。俺がチェックするから」と。無理やり乗り切ったんですよ。

最初はアナログ、パワーで乗り切る。そして「これがニーズある」と実証する。やれないことはないんですよ。「変わろうよ」ということを北海道でも実現したいんですよね。

エンジニアの単価を上げていく

最後に札幌でどのような会社を作っていきたいか、どのような未来を作っていきたいかを伺いました。

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入澤さん
先日、「人を育てられる会社は強い。人を育てられるチームは強い」という金言を聞きました。だから、日本ハムは強い。人を育てられる会社になりたい。人を育てて、巣立って行って。またいつか何か一緒に仕事ができればいい。新陳代謝で会社は強くなると思っています。
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阿部さん
BULBは開発寄りの立場にいるので、開発現場の立場を含めたカルチャーセットで、社会を変えていきたい。どの業界でもITとの関わりがあるのは間違いないので、根っこのカルチャーセットを提供したいですね。
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入澤さん
エンジニア単価を上げていく努力も必要ですね。作るだけでは絶対、単価は上がらない。トータルプロデュースを行って、作ることが必要だと考えています。
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阿部さん
僕は札幌、東京で仕事をしていますが、決して札幌の品質レベルが低いわけではありません。例えばGoogleでも根本的に違うとは思わない。単価を上げるにはブランディングやプロデュースが必要ですよね。フロントに立つ人がうまくやれば、東京と変わらない素晴らしい品質で提供できる。地方で家賃安いから、数割安い単価というのはおかしい。
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赤沼
BULBがサービス提供にこだわっている理由ですよね。
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阿部さん
そうですね。
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入澤さん
それが今回の提携の大きな野望、テーマでもありますね。

最後に入澤さんが締めくくります。

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入澤さん
私が好きな柔道家、山下泰裕の座右の銘で「一人では何もできない。でも、一人が始めないと何も始まらない」という言葉があります。

最初に始めるのは一人なんですよ。我々は一人ではないけれど、ぜひできることから初めていきましょう。

取材を終えて

インタビューの後半

入澤さんと阿部さん。私は両者ともに数年前のお付き合いでしたが、三人で話したことは初めてです。まったく別の道を歩んでいた二人が同じ道を歩みだす。長く札幌IT業界にいると、こういう場面にも遭遇し、感慨深い気持ちになりました。

お互いの会社を知っているからこそ、リリースを聞いた時に驚きました。「こんなにも社風が違う会社が一緒にやるのは大丈夫だろうか」と。

大人と自由。表面上の社風は違うかもしれません。ただお話を聞いていくと、「既存の業界に対して、新しいITサービスを提供し、変えていきたい」という思いは一緒。表面上の社風は違えども、根底の思いや、活動されていたことは一緒だったのです。

「素晴らしい補完関係」と語っていただいた両社。今後どのような動きをしていくか。今後もキタゴエでは両社の歩みを追っていきたいと考えています。

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